長岡に住み、東京の仕事を 新たな働き方に新卒7人

伊丹和弘
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 新潟県長岡市にいながら首都圏の企業に勤める。そんな働き方を提唱する「USEN(ユーセン)―NEXT(ネクスト)ホールディングス」(本社・東京)は8月30日、対象となる学生7人の内定式を市内で行った。7人全員が県内出身で、6人は長岡市出身。若者の県外転出が長く課題となってきた新潟で、新たな動きとして注目されそうだ。

 こうした働き方を、同社は「NAGAOKA WORKER」(NW)と名づけ、賛同する企業を募っている。7人はいずれもNWとしての採用だ。

 市産業立地課によると、NWは、企業などが本支社などから離れた場所に置く拠点「サテライトオフィス」の誘致をしていた市に対し、音楽配信会社「USEN」(本社・東京)などを傘下に持つ同社が提案した。同社によると、NWとして採用した社員は長岡支店の業務ではなく本社業務を遠隔で担う。

 市や同社などは、NWを多くの企業に広げるために協議会を設置。現在、ウェブ面接サービスの「ZENKIGEN」(同)や、障害者雇用支援の「アクティベートラボ」(同)が来年度のNW採用に向けて動いているという。USEN―NEXTホールディングスの住谷猛執行役員は「企業を超えてNW同士が交流することで、協業や新規事業が生まれる。NW内の転職があってもいい」と話す。

 市内にある4大学1高専との交流も目的。同社は、長岡技術科学大学や長岡造形大学とインターンシップ(就業体験)を実施する。NWを紹介する動画やNWが使うアプリケーションの開発を長期で行うという。

 今回、同社がNWとして採用する内定者は男性4人、女性3人で出身校は新潟大2人、県立大2人、慶大、日大、長岡高専各1人。1人が10月、6人が来年4月に入社する。磯田達伸市長は「地元就職やUターンの受け皿だけでなく、県内・市内出身ではない若者の選択肢の一つに育ってほしい」と期待する。

 県立大の片野葵さん(21)は「地元に就職しながら大企業の仕事ができるのは魅力的でした。NWが新しい働き方のモデルとなり、NW自体が長岡の新しい魅力となるように頑張りたい」。古野慧さん(22)は「スキークロスで北京五輪を目指しています。冬は欧州を中心にW杯を転戦しますが、オフシーズンは長岡を拠点にリモートワークします。地元長岡の選手として多くの人に応援されたい」と話した。

 内定式を行ったNWの拠点となるショールーム併設オフィスは6日から稼働する。「USEN SQUARE NAGAOKA」(東坂之上町2丁目)で、長岡支店も移る。カフェやコワーキングスペースを備え、同社初の店舗型DX(デジタルトランスフォーメーション)のショールームともなっており、多機能レジ、顔認証入館システムなど同社の70以上の商材を体験することもできる。(伊丹和弘)

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