脱サラ兄弟の台湾カステラ ふわっと新食感、日本に原点

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 タピオカミルクティーやマンゴーかき氷……。日本でも人気の台湾スイーツの中で、いま最も注目されているのが、台湾カステラです。日本各地で専門店のオープンが相次ぎ、長崎でカステラをつくってきた老舗菓子店まで販売を始めました。本場では各地のケーキ屋や夜市などの屋台で手作りの台湾カステラが売られていますが、人気店を訪ねておいしさの秘密を探ると、日本のお菓子が開発に影響を与えていました。

 ふわふわ、ぷるぷる、しっとり、ほっこり――。台湾カステラをネットで検索すると、その食感にかんする様々な描写が現れます。見た目や材料からは、日本の伝統的なカステラとシフォンケーキの特徴を併せ持つことがわかります。台湾では「古早味蛋糕」(クー・ツァオ・ウェイ・タン・カオ)と呼ばれており、直訳すると「懐かしい味のケーキ」という意味です。大きさにもよりますが、1個数十台湾ドル(1台湾ドルは3・8円)で財布に優しいお菓子です。

オリジナルのレシピは

 日本に進出している店もあるなか、今回は日本でブームとなる以前の1999年に独自の味を編みだした、台湾北部・新竹県の「新美珍」を訪ねました。間口5メートルほどの小さな店ですが、近くの工業団地にあり、半導体製造で世界を席巻する「台湾積体電路製造」(TSMC)の社員も足しげく買い求めに来るそうです。

 店の2代目で、5人姉弟の長男、黄貴和さん(56)と次男の国慶さん(55)に今月下旬、話を聞くと、「ネット販売を含め、台湾全土で毎日1千~2千個が売れています」と人気ぶりを紹介してくれました。「シンガポールマレーシアでの現地生産や輸出の誘いもありますが、鮮度などの問題で断っています」と国慶さん。その職人気質に、がぜん、味への期待が高まります。

 まぜもののないオリジナル版(約300円)のほか、それぞれ材料にチョコや抹茶、黒糖(各約340~380円)を入れた5種類を販売しています。すべて直径18センチ、高さ8センチほどのホール型です。

 午前10時ごろ、店の奥の作業場では、この日最後という窯出しが行われていました。本店の責任者を務める次男の国慶さんが、オーブンから焼きたてを取り出すと、香ばしく、かすかに甘いにおいが周囲に漂いました。

 オリジナル版をいただくと…

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