全国で保育施設の定員拡大が進み、待機児童が大きく減るなか、保育園はいま、「量」だけでなく、「質」の確保が求められています。しかし、「保育の質」とは? なかなか数値化しにくく、改善されにくいこのテーマについて、新潟県私立保育園・認定こども園連盟が、調査研究を行っています。報告書からは、なぜ子どもたちに手厚い保育士の配置が必要なのか、具体的に知ることができます。
「いないいないばあ」に気づかない
保育園の1歳児クラスでの給食の時間。6人の子どものうち1人が、同じテーブルに座る保育士に向かって何度も「いないいないばあ」をしてみせた。だが保育士は、テーブルの対角線上にいる子どもの介助に手いっぱいで気がつかない。しばらくすると、その子は諦めた様子で保育士の気を引くのをやめ、黙って食事に戻った――。
連盟が昨年実施した調査研究での一コマだ。子どもに対する保育士の配置は厚生労働省が基準を定めており、子どもの年齢に応じて変わる。例えば1歳児なら、子ども6人につき1人以上の保育士を配置することになっている。
しかし現場の保育士からは、「保育園に求められる役割は複雑化しており、実態に合わない」などとして見直しを求める声があがっていた。
研究は、保育士配置が子どもたちに与える具体的な影響を探ろうと、県内の認可保育園など16園の協力を得て実施。どの子に向かって話したかがわかりやすく、園ごとの保育方針の違いが出にくいという給食の時間に、保育士1人が1歳児3人をみる場合と6人をみる場合の様子をそれぞれ10分間録画・録音し、保育士が子どもに話しかけた回数を比較した。
大きく差が出たのは……
参加した保育士27人分の映像と音声を分析したところ、保育士が子どもに話しかけた回数の総数は、3人でも6人でも平均約190回で、大きな差はなかった。
違いが出たのは、子ども一人…
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