妄想のヌルヌル無限運動(小原篤のアニマゲ丼)

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 こびとたちがワラワラと地から芽吹くように現れて、それを次々と怪物がのみこみ、ハラがボワンと膨れあがって体が裂けて、崩れ落ちた体がお城になって、その城から出てきたのか城がバラバラに分かれたのか分からないけど小さなバケモノだかこびとみたいなものになってワラワラと四散して……といった具合に粘土がヌルヌル(この場合は滑らかで途切れなくメリハリのない、といった意味で)動く人形アニメーションを作ったのは米のアニメーション作家ブルース・ビックフォード(1947~2019)という人で、追悼上映「ブルース・ビックフォードと(の)アメリカ、そして宇宙」が1日から東京・渋谷のシアター・イメージフォーラムで開催中なのですが、その人となりはというと、食べるものは有機栽培の果物のみで体重が40キロを割っていて、作業をするのはトランポリンに座って行い、完成させることや発表することよりひたすら作り続けることに打ち込み、兄2人は事故死して弟は自殺して自分は母の遺(のこ)した生家で独り仙人のように暮らし、最期は散歩中に野犬に襲われたケガのために亡くなった、という何とも……。

 と、ビックフォード作品さながらに永遠に終わらない感じに一文で最後まで書ききろうかと思ったのですが、読みにくいし朝日新聞デジタルの編集部も困るでしょうからやめときます。

 1970年代にミュージシャンのフランク・ザッパさんとのコラボレーションで注目を浴びたビックフォードさんについて、名前だけは知っておりましたが作品をちゃんと見たことはありませんでした。粘土による立体だけでなくドローイングもありますが、共通して特徴的なのはまず不気味でいびつでバランスが変な造形。怪物や巨人が小さな人をのみ込むモチーフも繰り返されるので、ある意味「進撃の巨人」を連想させるテイストです。次に、生き物も建物もなんでもかんでも、やわらかな内臓のような生物的なヌルヌルした動きをすること。

 そして、延々と終わらないメ…

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