(やっぺし)虎舞にかけた男

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9月22日

 岩手県大槌町は「秋祭りから1年が始まる」という人もいる。

 町内の大槌稲荷神社と小鎚神社の宵宮、本宮。計3日間。

 太神楽(だいかぐら)、鹿子踊(ししおどり)、虎舞、七福神、手踊り……。

 人口1万2千人の町に20を超す郷土芸能団体の大半が町中を練り歩く。

 被災から8年半。更地にやっと家が建ち始めた市街地の一角。

 祭り期間中、テントが張られ、阿部富二男さん(65)の遺影がまつられた。

     ◇

 郷土芸能の中でも特に若者の人気を集めるのは虎舞。町内に5団体ある。

 その中でも、「怖いほど虎らしい」と言われるのが、陸中弁天虎舞。

 漁師町の赤浜に45年前にできた、江戸時代から続く団体もある中では新しい。

 阿部さんは創設メンバーの一人だった。

 阿部さんの遺影を自分の居酒屋の前にまつった、同級生の男性は当時を語る。

 「当時、血気盛んな若者たち…

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連載やっぺし 大槌の日々

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