真実伝えず信頼失った ギリシャ危機、メディアの反省
千種辰弥
明日も喋ろう:5 @ギリシャ
29位から72位に転落した、日本。31位から88位に落ちた、ギリシャ。
2008年から17年の「報道の自由度ランキング」(国境なき記者団)の推移に、共通の背景があるのではないか。
政府債務の対GDP比が200%以上(16年)と、危機的な財政状況も似ている。それがギリシャを取材先に選んだ理由だ。
話を聞いた記者らは10人。多くは経済危機を招いた責任の一端が、真実を伝えなかったメディアにあると語った。
ラジオ局の記者、ディミトリス・ペロスさん(40)は「テレビや新聞は年金カットを主張する議員を批判して、国民を喜ばせていた」と振り返る。
「給料は上がりボーナスも出たから、国はうまくいっていると思った。借金で国が回っていると考えもせずに」というのは、日刊紙編集長のデスピナ・コンタラキさん(47)だ。
ところが危機は訪れ、メディアは国民の信頼を失った。政府からは圧力を加えられ、「挟み撃ち」の状態になった。その結果が、デモ参加者や機動隊員からの暴行、国策捜査とみられる逮捕だろう。
危機は、経済的にも記者を追…