博多駅前の道路30m陥没、大量の水流入 地下鉄工事中

【動画】博多駅前で路面が陥没=読者提供
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 8日午前5時15分ごろ、福岡市博多区のJR博多駅前の市道2カ所が縦約10メートル、横約15メートルにわたって陥没した。穴は徐々に広がり、計5車線の道幅いっぱいの約30メートル四方、深さ約15メートルになった。現場は地下鉄延伸のための工事中。穴には水が激しく流れ込んでいて穴がさらに広がる可能性がある。市は、周辺のビル10棟に避難勧告を出した。市は掘削が陥没の原因となったことを認め、謝罪した。

 付近では一時、ガス漏れもあり、警察が一帯を通行止めにし、火を使わないよう呼びかけた。最大で周辺の800戸が停電した。博多駅前3丁目のビルでは、70代女性が階段を踏み外して転落し、けがをした。

 福岡市交通局によると、現場は市営地下鉄七隈(ななくま)線延伸工事の「博多駅(仮称)工区」部分のトンネル掘削中で、深さ約25メートルの地中を掘り進めていた。午前5時ごろ、現場に地下水が流れ込んできたため作業を中断。約10分後に道路上を交通規制して点検をしていたところ、路面の崩落が始まったという。

 事前のボーリング調査で、現場付近は地下3~5メートルより深い位置に地下水が流れているとわかっていた。これまでも掘削工事中にわずかに水がしみ出していたが想定内の量で、ポンプで排水していたという。交通局幹部は「万全の措置をとってきたが、一番恐れる陥没の事故が起きた。深く反省している」と説明した。陥没で崩壊した下水管から正午現在、水が流れ込んでいる。

 九州電力によると、崩落と同時刻に博多駅周辺の約800戸で停電が発生。現場から約2・5キロ離れた福岡空港国際線ターミナルも停電し、自家発電に切り替え、その後、仮復旧した。陥没現場付近に地下埋設ケーブルがあるが、付近の立ち入りは規制されており、損傷しているかどうかの確認はできていない。停電は正午には、大型ビル向けなどの特別高圧の14戸に減った。

 JRの新幹線博多駅の構内や駅ビルなどでも停電が発生。駅ビルを運営するJR博多シティは午後1時現在、停電に伴い「アミュエスト」「博多デイトス」「JRJP博多ビル」の開店時間は未定としている。在来線と新幹線、地下鉄空港線は通常運行している。飛行機の運航への影響もないという。

 ふくおかフィナンシャルグループ(FG)によると、ふくおかFG傘下の福岡銀行(本店・福岡市)、熊本銀行(同・熊本市)、親和銀行(同・長崎県佐世保市)の全店舗で銀行窓口の入出金業務を停止している。福岡県内にある店舗内外に設置した一部のATMも稼働していない。オンラインシステムが安定しない状況が続いているためという。

 2014年10月には、現場から約400メートル離れた福岡市博多区祇園町のはかた駅前通りで、車道が幅、長さ、深さ各約3メートルにわたって陥没する事故があった。地下鉄七隈線の延伸工事の影響だった。

 00年6月にも、現場から約2キロ離れた福岡市中央区薬院3丁目の地下鉄のための掘削工事をしていた市道が、幅約5メートル、長さ約10メートル、深さ7~8メートルにわたって陥没した。

 地下鉄七隈線の延伸工事は14年2月に着工。今回の現場付近の「博多駅(仮称)工区」は、大成建設など5社による共同企業体が担当。地下鉄延伸工事の総事業費は約450億円で開業は20年度の予定。

 現場はJR博多駅から西に約200メートルで、周辺にはオフィスビルやホテル、飲食店が立ち並ぶ。

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 JR博多駅の駅ビルを運営するJR博多シティによると、停電に伴い、「アミュエスト」「博多デイトス」「JRJP博多ビル」の開店時間が未定になっている。「アミュプラザ博多」「博多阪急」は通常営業の予定。

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