くまモン、やせていた「過去」 失敗糧にキャラ再設定

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池上桃子 大畑滋生
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 その人気が国境を越えるまでに成長した熊本県の人気ゆるキャラくまモン熊本地震後は被災者の心を癒やし、復興を後押ししてきた。アベノミクスならぬ「くまモミクス」の成功の裏には、失敗を教訓にした、綿密な戦略がある。

 「くまモンは昔やせていたけど、熊本のおいしいものをいっぱい食べて、メタボになったんですよ」

 川崎市の商業施設「アトレ川崎」で9月24日にあった熊本フェア。300人近いファンの前でアシスタントの女性が話すと、大きな笑いが起きた。

 実は、やせていたのは、本当の話だ。2010年3月に登場した「初代」のくまモンは、背が高くやせていて、現在とは似ても似つかない。子どもに近づけば泣かれ、動きも素人くさく哀愁が漂っていた。

 アイデアが関係者に披露されたのは、この約1カ月前。翌年に控えた九州新幹線全線開通に向けた戦略会議で、キャンペーンのロゴを手がけたデザイナーの水野学さんが、「おまけ」として考えついたものだ。放送作家小山薫堂さんによると、「水野さんが最初の段階で熊本弁の『熊本の者(モン)』から『くまモン』という名前を決めていた」ので、それに従ったという。初代は、年度末に余った予算で、急ごしらえしたものだった。

 この失敗が、今のくまモンの土台になっている。放送作家の小山薫堂さんや県職員らは、ミッキーマウスやハローキティなどの成功例を研究。その年の夏までに、今のくまモンのコンセプトが固まった。

 くまモンは「1人」で、「着…

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