広島に来た大統領のハグと核のボタン 訪問の舞台裏は

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武田肇 ワシントン=奥寺淳
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 現職の米大統領として初めて被爆地・広島を訪れたオバマ大統領。象徴的な場面として注目されたのが、被爆者を抱きしめた瞬間だった。この場面に至るまでの経緯を含め、あの一日の舞台裏を追った。

 白髪で杖を手にした被爆者の言葉にうなずきながら、オバマ氏が悲しげな表情に変わっていく。長い手を伸ばして抱きしめ、背中をさすった――。

 オバマ氏が被爆者の森重昭さん(79)を抱きしめる場面は、日本だけでなく米国でも、写真や映像が報じられた。

 「大統領があなたのところに行って話します。握手もします」。外務省の森健良・北米局長が森さんに伝えたのは、一連の行事が始まる約10分前だった。

 歴史研究家でもある森さんは約40年間、広島で被爆死した米兵捕虜12人を調査し、米国人の遺族と交流してきた。

 森さんはあの瞬間をこう振り返る。

 「自分の言葉でお礼を伝えたい」と通訳を介さずオバマ氏に話しかけようとした。ところが緊張し、すぐに言葉に詰まってしまった。体が震え、涙がほおを伝った。その瞬間、オバマ氏に抱きしめられたという。「落ち着いて下さいという趣旨だったと思う。言葉をうまく交わせなかったことが、予期せぬハグ(抱きしめること)になった」

 被爆者との対面は、4月のケ…

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この記事を書いた人
武田肇
高松総局次長
専門・関心分野
原爆・平和、韓国、北朝鮮、歴史認識、差別と人権、鉄道
奥寺淳
編集委員|米中・国際関係担当
専門・関心分野
米中、日中、国際関係