(関西食百景)瀬戸内海の風 実は踊る

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文・石田貴子 写真・橋本弦
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小豆島のオリーブ 栽培100年超

 摘み取ったばかりの実が板の上を勢いよく転がり落ちている。踊っているように――。

 瀬戸内海に浮かぶ小豆島(香川県)はいま、オリーブ収穫の最盛期を迎えている。栽培面積が島で最も広い「東洋オリーブ」の作業場では、収穫した実を洗い、仕分ける作業に忙しい。たくさんの実を転がし、混じった微細な葉や軸を取り除いていく。

 香川県はオリーブ収穫量の国内シェアが99%を誇る。1908年、国は三重、鹿児島、香川の3県でオリーブの試験栽培を行った。地中海のように温暖な気候で風が通る小豆島の環境が最も適合し、定着した。

 瀬戸内海を見渡せる高台では、あちこちで4、5メートルの高さのオリーブの木の枝が風に揺れている。いま、鈴なりになった実を、島の人たちが手を伸ばし、一粒ずつ採っている。東洋オリーブ営業部長の藤塚隆さん(49)は「島の人々はこつこつと仕事をしてくれます」と話す。実を傷つけないよう、手作業にこだわっている。

 20年ほど前、健康志向が高まり、オリーブオイルに注目が集まった。以来、消費者の中に「少しでもいいものが欲しい」と商品選別の動きが出てきた。安価な輸入ものが次々と出回るが、小豆島のオリーブは安定した人気を保っている。

シャキシャキ ご飯に カクテルに

 ふたを開けると、つやつやしたご飯と、オリーブの「新漬け」が姿を現した。土鍋でたいた「オリーブご飯」だ。

 瀬戸内海・小豆島(香川県)の旅館「島宿真里」の人気メニュー。島のオリーブ収穫量は国内シェア9割を誇る。丁寧に摘み取られた青い実を塩水に漬けたのが新漬けだ。それを米と一緒にだしで炊き込んでいる。

 茶わんによそい、少しだけオ…

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