ウクライナにとって深刻な砲弾不足 紛争相次ぎ、米国の政争にも翻弄

有料記事

ワシントン=下司佳代子

 近年、世界の軍事・外交関係者は、サイバー戦や人工知能(AI)など先端技術の動向に目を奪われてきた。しかし、ロシアのウクライナへの侵攻が浮き彫りにしたのは、前線で砲弾を撃ち合う激しい殺戮(さつりく)の応酬が、依然として「戦争と平和」の行方を大きく左右する実態だ。冷戦終結後、防衛産業の再編と縮小を進めた欧米側は、情勢の変化に十分に対応できていない。

 「ロシアはウクライナの5倍の砲弾を発射している。数週間のうちに10対1になるだろう」。カボリ米欧州軍司令官は、4月10日の下院軍事委員会で危機感をあらわにした。カボリ氏は、ロシアに対抗する軍事同盟である北大西洋条約機構(NATO)の欧州連合軍最高司令官も兼ねている。

 米陸軍は現在、月3万発の155ミリ砲弾を製造している。ロシアのウクライナ侵攻前の月1万4千発から倍増させており、今夏までに6万発、2025年末までに10万発に増やすことを目標としている。テキサス州に新たな製造工場を建設し、爆薬を砲弾に詰める工場も2カ所、新設して、増産に本腰を入れる計画だ。

製造、すでに倍増、さらに3倍目標 それでもロシアの半分以下?

 ただ、目標を達成してもロシ…

この記事は有料記事です。残り1094文字有料会員になると続きをお読みいただけます。

※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません