ヤングケアラーの相談窓口「自治体の1割未満」支援体制に大きな課題

有料記事

川野由起

 大人に代わって家族の世話や家事を担う「ヤングケアラー」について、相談窓口などを整備している自治体が1割に満たないことが、こども家庭庁の調査でわかった。実態把握に乗り出す自治体は3割あるが、ヤングケアラー当事者が利用してよかったとの回答が多かった相談支援の取り組みは、まだ十分ではない。

 同庁が民間の調査会社に委託して2023年、全国の1788自治体(回答は1221自治体)、小学生から高校生以上の若者を含めたヤングケアラー約80人と家族、支援団体に調査した。有識者らが検討委員会を構成し、調査項目や結果を話し合った。

 窓口の整備など相談支援体制を推進している自治体は全体の8%。実態調査・把握は29%、家事・育児支援は16%、サロン(ヤングケアラー同士の交流の場)の設置・運営、支援は3%だった。相談支援体制の推進は、都道府県57%、指定市25%に対し、一般市町村4%など、実施状況にばらつきがみられた。「ヤングケアラー関連の取り組みは特にない」は都道府県で2%、一般市町村では35%だった。

 相談支援の手法は、電話や対面が8割超で最も多かった。支援団体への調査で、本人とかかわり始める段階や負担軽減をめざす段階で「効果的」との回答が目立ったアウトリーチ(訪問)は43%。元当事者によるピアサポートは19%だった。

 ヤングケアラー本人への調査…

この記事は有料記事です。残り647文字有料会員になると続きをお読みいただけます。

※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません

  • commentatorHeader
    たかまつなな
    (時事YouTuber・笑下村塾代表)
    2024年5月7日6時36分 投稿
    【提案】

    昨年4月「こども基本法」が施行され、すべての自治体に対して、こどもの声を聞くことが義務づけられました。 自治体にはこれから、支援や相談窓口をぜひ増やしていって欲しいですが、その際に当事者の声もぜひ聞いて頂きたいです。 ヤングケアラーの専

    …続きを読む
  • commentatorHeader
    清川卓史
    (朝日新聞編集委員=社会保障、貧困など)
    2024年5月5日8時57分 投稿
    【視点】

    生活困窮者自立支援制度で子どもの学習・生活支援を実施する埼玉県の支援団体の調査によれば、ヤングケラーの割合は生活困窮世帯で高いという実態が浮き彫りになっています。背景には、親の心身の不調をはじめ、生活困窮、ダブルワークなどの労働問題、虐待

    …続きを読む
ハグスタ

ハグスタ

HUG STA(ハグスタ)は、子育て世代に開いたニューススタンドです。[もっと見る]