日本保守党、東京15区補選で4位 安倍氏なき「自民不満層」に訴え

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笹山大志
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 4月28日投開票の衆院東京15区補欠選挙で、作家・百田尚樹氏が代表を務める政治団体「日本保守党」が一定の票を得て、9候補中4位となった。結党まもない「百田新党」はどう戦ったのか。選挙戦を取材した。

 26日午後、東京都江東区マンション密集地区。新顔とマイクを握った百田氏の声は、怒りに満ちていた。

 「40年以上、自民党を応援してきた。自民が保守政党だったからだ。ところが、安倍晋三氏が亡くなった後、自民は何かがおかしくなった」

 日本保守党は昨年9月に発足したばかりだが、X(旧ツイッター)公式アカウントのフォロワー数は、自民の25万人をしのぐ、33万人。党費を支払う党員は約6万5千人を超えるという。初めての国政選となった今回の補選では、街頭演説中心の選挙戦を展開。百田氏が必ず触れるのは、故・安倍氏への郷愁と、自民への失望だった。

 「自民一強」を築いた安倍氏の評価は定まらないが、百田氏の言葉は「保守」志向の聴衆には響いたようだ。アパレル業界で契約社員として働く江東区の52歳男性は安倍氏が存命時は自民に投票してきたが、今回は日本保守党に投じると言った。「安倍氏なき今の自民は日本のための政治をしていないと感じる」とし、「日本ファーストで政治をしてくれるのは日本保守党だけだ」と話す。世田谷区の82歳の女性は夫が自民議員の後援会に所属していながら、日本保守党の特別党員(党費年2万円)になった。「ビジネスの関係で自民を応援していたけど、裏金問題など腐敗した自民を許せなくなった。自民では日本を守れない」と訴えた。

 その結果、日本保守党の新顔候補は2万4264票を獲得。小池百合子東京都知事が率いる地域政党「都民ファーストの会」など推薦で無所属の作家・乙武洋匡氏を4600票以上上回り、3位の維新公認候補には約4200票差まで迫った。朝日新聞の出口調査によると、自民支持層から15%、無党派層から16%の支持を得ていた。

「リベラル政党に有利では」の問いに有本香氏は…

 今回は自民が候補擁立を見送…

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    辻田真佐憲
    (評論家・近現代史研究者)
    2024年4月29日13時19分 投稿
    【視点】

    選挙戦最終日、東京15区の様子を見に行きました。あくまで自分が見た範囲ですが、日本保守党の演説の盛り上がりはほかを圧倒するものがありました。同日、豊洲で行われていた乙武氏の演説が、警察の警備でがっちり守られて秩序だっていたのとは対照的な混沌

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    米重克洋
    (JX通信社 代表取締役)
    2024年4月30日21時29分 投稿
    【視点】

    日本保守党という存在が、今回東京15区補選に候補を立てなかった自民にとってどの程度の脅威になるかは未知数だ。が、候補を立てたか推薦した日本維新の会、国民民主党、参政党の3党にとっては脅威になり得るという調査結果が出ている。 我々JX通信社

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