離婚の後、子どもたちのために 元家裁調査官に聞く「第三の選択肢」

有料記事離婚と子ども

久保田一道

 日本では、離婚が裁判所に持ち込まれるケースは1割ほどにとどまり、大半は当事者同士の話し合いによる「協議離婚」です。ただ、子どもの養育費や面会交流など、本来離婚時に決めておくべき基本的なことがなおざりになっているとも指摘されています。子どもたちのために、どう改善できるのか。離婚後の「共同親権」を可能とする法改正の議論が進むなか、元家庭裁判所調査官の小泉道子さん(46)に聞きました。

 現在、「紛争解決手続き(ADR)」機関の運営に携わっています。ADRとは、金銭トラブル、職場でのハラスメントなど、一般の人同士の様々な争いについて、第三者を介した話し合いで解決を図るための機関です。運営するADR機関では、主に離婚をめぐる調停を実施しています。

 政府の調査では、母子世帯で養育費の取り決めをしているのは半数以下です。十分な話し合いが尽くされていない「協議なき協議離婚」は相当多いと感じています。

養育費、面会交流、財産分与……、基本的なことなのに

 離婚するわけですから、2人だけで話し合いをするのが難しいことは多いです。「早く離婚したい」と考え、しっかりした協議をしないまま手続きを急いでしまうこともあるでしょう。

 ただ、父母間のことはまだしも、養育費や面会交流など、子どもに関わることを決めないまま離婚届が出されてしまえば、享受すべき権利を失うのは子どもです。

 現状の大きな問題は、離婚す…

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