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 晴れ、曇り、雨は許す。雪はだめだ。

 朝方、マフラーで顔半分を隠した買い出し人の分厚いジャンパーに、けしの実ほどの白いものが散っている。雪が降りだしたらしい。「やだね、積もらなきゃいいけど」

 東京の雪は、たいてい午後には雨に変わる。しかし年によっては、それを裏切る日がある。午後、人の絶えた河岸の雪は、高い建物がない分、舞い狂う。そして翌朝、河岸の歯車は、きしみっぱなしとなる。