名古屋って「和菓子どころ」なの? 気鋭の職人が語る歴史と魅力

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内藤尚志

 名古屋は京都や金沢と並ぶ「和菓子どころ」――。そう言われても、ピンとこない人は多いはず。なぜ知られていないのか。気鋭の和菓子職人、「菓匠 花桔梗(はなききょう)」(名古屋市)の伊藤誠敏さん(43)に聞いた。

《いとう・まさとし》 同志社大商学部を卒業後、米国に留学して外食産業を学ぶ。2003年に親族が経営する老舗和菓子店「美濃忠」に入り、店舗での接客や菓子づくりを経験して05年に独立。「菓匠 花桔梗(はなききょう)」のほか、豆大福が人気の「一朶(いちだ)」でも商品開発を仕切る。43歳。

《「菓匠 花桔梗」》 2005年創業の有限会社桔梗屋(名古屋市)が運営する和菓子店。市内に4店舗を構える。桃やマスカットといった果物をふんだんに使った大福や水ようかんで注目を集めた。従業員数は約30人で、年間売上高は約3億円。21年に前橋市で和菓子店を営む会社の傘下に入った。

 ――経済産業省の統計によると、愛知県の和生菓子の出荷額は京都府につぐ規模です。名古屋は和菓子どころなのですね。

 「和菓子はお抹茶にあわせるためのもの。江戸時代に名古屋を発展させた尾張徳川家が、お茶を楽しむ文化を根づかせた。これが現代も続いています。お抹茶が普及すれば、和菓子店が増えるのは当然です」

喫茶店文化の源流

 ――名古屋の和菓子文化は、豪華なモーニングで知られる喫茶店文化の源流ともいわれます。喫茶店文化は有名になりましたが、和菓子のほうは……。

 「和菓子には、その場の風情…

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この記事を書いた人
内藤尚志
経済部
専門・関心分野
雇用・労働、企業統治(ガバナンス)、経済政策