欧州連合(EU)は21日に開いた保健相会合で、新型コロナウイルスワクチンの4回目の接種ができるよう準備を進める方針を確認した。感染力が強い変異株「オミクロン株」に対する危機感が強く、必要な回数(多くは2回)の接種を終えた上で追加接種(ブースター)を済ませた人が4割の段階で、さらなる接種が必要になる事態に備える。

 EU各国はワクチン効果の維持と回復のために3回目の接種を急いでいるが、感染の拡大を防ぎきれていない。オンライン方式で開いた臨時の保健相会合で、EUの行政を担う欧州委員会のキリアキデス委員(保健衛生担当)は「(コロナ禍の)2年間の経験で準備がカギだと学んだ。4回目が必要となった場合に対応できるようにしておかねばならない」と語った。

 ロイター通信によると、EU内でもハンガリーやデンマーク、スウェーデンなどがすでに4回目の接種へと動き出しているという。この日の会合では、接種間隔や対象者、重症化や入院者数などの情報共有を続ける重要性を確認した。ただし、そもそもワクチンを敬遠する人もおり、EU内では一度も接種していない人が人口の26%を占める。キリアキデス氏は、接種が可能なのに打たない人を減らす重要性も改めて訴えた。(ブリュッセル=青田秀樹)