「閉じ込められたらクラクション、教えよう」 専門家は

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棚橋咲月 小川裕介
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 車内に閉じ込められたら、クラクションを鳴らして――。福岡県中間市の保育園で男児(5)が送迎バスに閉じ込められて死亡した事故を受け、こんな対応を子どもに教えるよう呼びかけるツイートが拡散している。「知らなかった」「子どもにすぐ教えた」といった共感が広がる。

 ツイートを発信したのは、Dr.リノさん。これまで3万回以上リツイートされた。SNSを通じて取材を申し込み、その思いを聞いた。

 リノさんは京都府小児科医で、子どもの事故を防ぎたいと、家庭で気をつけるべきポイントなどについて積極的にツイッターで発信してきた。

 倒壊した家屋やがれきに閉じ込められたら、大きな音を出して周囲に知らせなければならない。同じ考え方で、「自分のオリジナルのアイデアではないが、『自動車内に閉じ込められたらクラクション』という発想は、私の中ではありました」という。

 ただ、子どもは車のハンドルに触ってはいけないなど、運転席に近づかないよう教えられていることが多い。緊急時では、「良い子」ほど親の教えを忠実に守ろうとするという。

 そのためリノさんは、非常時には「壊したらどうしよう」「怒られるかも」と思わず、とにかくクラクションを鳴らしたり、窓ガラスをたたいたりして、「周囲に自分の存在を知らせ続けるように」と教えることが大切だと指摘する。

 自身も6歳の子どもがおり、今回の事故に大きな衝撃を受けた。閉じ込められたらどうするかと息子に尋ねたら、返事は、笑顔で手を振りながら「助けてー」。「あらためて我が子にクラクションの位置や鳴らし方、とにかく全力で騒ぐように指導しました」

エンジンを切っていても鳴る? 効果は? 専門家は…

 「クラクションを鳴らすよう…

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    氏岡真弓
    (朝日新聞編集委員=教育、子ども)
    2021年8月4日12時59分 投稿
    【提案】

    車内に閉じ込められて熱中症にかかる子どもたちの事故は跡を絶ちません。多くは保護者、母親を批判して終わりでしたが、何を気をつけたらよいかという具体的な対策の発信が出てきたことに注目したいと思います。 事故、特に子どもの事故は①原因を調査する

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    田渕紫織
    (朝日新聞社会部記者=メディア、子ども)
    2021年8月4日17時6分 投稿
    【視点】

    「閉じ込められないために」と「閉じ込められたら」。それぞれについての具体的なアドバイスの数々。私もすぐ実践しようと思います。 病院では、医療ミスを防ぐために、むしろミスは一定数起こるものと想定して、何重にも確認手順を踏んで防ぐ「失敗学

    …続きを読む