2016~20年に日本で生まれ、0歳の時点で法務省が無国籍と認めた子どもから抽出した305人のうち、2割以上の69人が21年4月現在でも国籍を得られていないことが20日、同省の初めての調査で明らかになった。上川陽子法相は20日の会見で調査結果を公表し、対策として「窓口で、国籍があるかを積極的に把握し、早い時期に情報提供していく」と話した。
調査では子どもが無国籍になった理由を分析した。最も多かったのは、パスポートや出生証明書など国籍を立証する資料の不足。全体の約76%にあたる232人が該当した。このうち44人は21年4月現在でも無国籍だった。
次いで多かったのが、在日公館だけでは手続きが完了しない国のケースだ。その国で手続きする必要がある。63人が当てはまり、うち17人は21年4月現在でも無国籍。母のみが無国籍で、それを引き継いだ子どもも2人いた。
調査では、これらを含めて理由を五つに分類した。今後対象が広がれば、「まだほかのパターンもありうる」(同省)としており、無国籍の子どもにかかわる全容は把握できていない。
上川法相は会見で、「年齢が上がるにしたがって無国籍のかたの割合が減少していく」と指摘した。ただそれでも残る無国籍の人については「さまざまな行政サービスなどで不利益を被らず、しっかり受けられるよう、関係機関と連携して対応する」と話した。
法相「無戸籍問題と似ている」
無国籍の子どもの状況把握に…
【お得なキャンペーン中】有料記事読み放題!スタンダードコースが今なら2カ月間月額100円!詳しくはこちら
- 【視点】
4月21日付の朝日新聞の記事では、国人労働者や留学生の増加を背景に、無国籍の乳幼児(0~4歳)が3年前に比べて約3・5倍に増加したことが指摘されました。国籍取得における生地主義と血統主義の違いが無国籍者を生みだす発生原因の一つとされています
…続きを読む