第13回入国制限「内閣のためになりません」 政権内に不協和音

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 コロナウイルスの感染拡大で、世界は大きく変わろうとしています。政治、医療、経済……。様々なジャンルで舞台裏を追う連載「コロナの時代」。今回は、首相官邸がこの半年間、どう動いたかを追う全6回のシリーズ「官邸 非常事態」です。初回は入国制限をめぐる政権内部の「葛藤」に迫ります。

「台湾を先行させてね」 首相の思惑

 「なんでブルネイが入っているんだ?」

 今月1日、政府が出入国緩和の第2弾として中国、韓国、台湾、ブルネイなどと交渉を始める方向で検討に入ったと報じられると、政府内で疑問の声があがった。確かに新型コロナウイルスの感染状況は落ち着いているが、経済界のニーズは必ずしも高くない。

 これには安倍政権ならではの事情があった。

 政府は6月、国際的な人の往来再開に向けて動き出した。第1弾に選んだのはベトナム、タイ、豪州ニュージーランド。感染状況とニーズで考えれば次は中韓台、というのが政府内のコンセンサスだった。

 「台湾を先行させてね」。複数の政府関係者によると、安倍晋三首相は第2弾の検討にあたり、そう指示したという。

 首相の支持層は中韓への強硬姿勢を期待する。とりわけ感染拡大の「震源地」となった中国からの入国緩和には、反発が予想される。中国が香港での反体制的な言動を取り締まる「香港国家安全維持法」を導入し、政権の立ち位置はさらに難しくなった。中国との対立を深める米国への目配りも必要だ。

 そこで首相は、国内の保守派が友好的な台湾を中韓より優先させることで、支持層などの反発を和らげようと考えたようだ。世界で最も感染を抑え込んだ国・地域の一つである台湾からの入国緩和は、自民党保守系議員らの要望でもあった。

中国、欧州、そして米国。世界的に感染が広がる中、官邸は外交関係を考慮しつつ水際対策をとらなくてはならない、という難しい決断が続いています。さらには、国内の支持勢力への配慮も見え隠れします。

中韓台、埋没させるためのブルネイ

 一方で世界第2位の経済大国

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