安倍晋三首相は25日の記者会見で、東京高検の黒川弘務前検事長の訓告処分について「森(雅子)法務大臣から、事実関係の調査結果を踏まえて、処分を行ったこと、その上で黒川氏本人より辞意の表明があったので、これを認めることとしたいとの報告があり、法務省の対応を了承した」と説明した。

 また、首相は「もちろん対応を了承しているので、この処分について行政府の長として責任を持っている。国民の批判に対しては真摯(しんし)に受け止めなければならない。(信頼回復に)私も全力を尽くす」とも語った。

 黒川氏の辞職や検察庁法改正案の今国会成立断念をめぐる混乱を受け「政治責任をどう負うのか」という質問に対し、首相は「黒川氏については、法務省・検察庁の人事案を最終的に内閣として認めた」と述べ、森法相については「検察・法務省の士気をしっかりと高め、信頼回復のために全力を尽くしてもらいたい」と語った。

 首相は続けて「私に与えられた責務は、新型コロナウイルス感染症を完全に克服して打ち勝ち、経済をしっかり回復させていく。雇用と暮らしを守り抜いていくことが、私の責任だろうと考えている」と述べた。

 首相が記者会見をするのは、14日の緊急事態宣言の一部解除以来。大阪、京都、兵庫3府県で解除した21日には、黒川氏から辞表が提出されたが、首相は会見ではなく「ぶら下がり」と呼ばれる記者団の取材に応じただけだった。