■朝日・東大谷口研究室調査
【小林豪、二階堂勇】衆院選候補者の政策スタンスをみると、第三極の政党では統治機構改革や地方分権を前面に出し、既成政党との差を際立たせようとする一方、既成政党側では民主党が自民・公明両党の政策に近づいている――。朝日新聞社と東京大学・谷口将紀研究室の共同調査では、こんな傾向もうかがえる。
候補者が「首相公選制の導入」「国会議員定数の半減」「消費税の地方税化」など、既成政党が比較的後ろ向きな政策への賛成度が高いのが、第三極の政党の特徴だ。民主や自民、公明各党の候補者の平均像とは分布がほぼ分かれる。
中でもみんなの党はこうした色合いが強く、日本維新の会が続く。両党は議員定数の削減や「道州制導入」に重点を置いており、党の政策が候補者の意識に浸透しているようだ。
ただ、第三極内でも差が出ている。両党に比べると、日本未来の党は民主党に近い。同党出身者が主体だった国民の生活が第一が合流したためとみられる。
例えば首相公選制については、未来の中で減税日本やみどりの風出身の候補者は導入に積極的だが、生活出身の候補者は慎重な姿勢を示している。
また維新では「貿易・投資の自由化」への賛成度が強いが、合流した太陽の党出身者は「国内産業保護」の立場をにじませる。
一方、「集団的自衛権の行使」「道徳教育の充実」といった政策への賛否の度合いで「保守」「リベラル」という性格分けをすると、第三極の中でもリベラル的な未来やみんなと、より保守的な維新との間で距離が表れた。
こちらも各党内で考え方が割れる。未来の中では集団的自衛権の行使に前向きな生活や減税出身者と、消極的なみどり出身者の間には差がある。維新の中でも太陽出身者は、ほぼ自民党に近い考え方だ。
第三極の各党にとって、こうした個別政策をめぐる候補者の主張の違いにどう対処していくかが、既成政党との違いを打ち出すうえでも課題となりそうだ。
■民主の自公接近、鮮明
一方で既成政党側では、民主党候補者の政策スタンスが、自民、公明両党の候補者に近づいている。
2009年衆院選、10年参院選当時に行った調査と今回調査で共通する質問13項目のうち、「消費増税」「防衛力強化」「中選挙区制復活」の3項目で、こうした傾向が浮かんだ。
特に顕著なのは消費増税だ。公約に増税を掲げていなかった09年衆院選では反対寄りで、自民、公明とは大幅に離れていた。それが10年参院選になると賛成側に移り、今回は自公と賛成度の強さでほぼ並ぶ。
野田政権が民自公3党合意をもとに消費増税を決めたことや、反対派の離党によって、民主党内で賛成派の「純化」が進んだことなどが背景にありそうだ。
防衛力強化の賛成度が強まったのは、北朝鮮の核・ミサイル開発や中国の海洋進出といった安保環境の変化が反映していそうだ。また中選挙区制への反対姿勢が弱まったことからは、支持率低迷を受け、小選挙区での当選を危ぶむ心理も見てとれる。
衆院議員選挙公示 | 12/4(火) |
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