令和5年版厚生労働白書によると、「2022年の出生数は80万人を割り込むなど、急速に少子化が進展している」のであり、「我が国は本格的な少子高齢化・人口減少時代を迎えようとしている」とのこと。

労働力人口の減少が予測されるそのような社会で、定年を迎えた世代、これから定年を迎える世代が直面するさまざまな現実を朝デジは取材してきました。

がんばって働いてきたその先には、若い世代が憧れるような明るい未来はあるのでしょうか? いま、日本が直面する定年世代のリアルな状況について見ていきましょう。

目次

    家族に先立たれた後に直面する、「孤食」の日常

    夫婦など家族で暮らしている人に訪れるかもしれない、愛する人の死。生活が一変し、一人きりでの食事が日常になった人を取材した記事です。

    20年前に妻に先立たれて以来、70歳までがんばって働いてきた84歳の男性。一人きりで食事をとる姿からは、孤独がひしひしと伝わってきます。

    「悲しいよ」妻失った食卓、一人みそ汁すする 孤食はうつのリスクも

    一人きりでとる食事は「孤食」と呼ばれていて、孤食によってうつの発症リスクが高まったり、栄養バランスが偏ることで肥満になりやすかったりするという研究結果も。

    記事(2020年の国勢調査)によると、65歳以上人口のうち5人に1人が一人暮らし。つまり、日常的な孤食の可能性を抱えているのです。決してひとごとではなく、ごく身近なことのように感じられます。

    家にいると妻に邪険に扱われる?定年後のリアル

    次に紹介するのが、退職後に妻から「週3日は外に出てほしい」と言われてしまった男性を取材した記事。

    記事によると、そんな妻の要望に応えるべく、実際に週に3日は外に出ていた男性。「週3日のノルマはきつかった」「何をして過ごせばいいか、わからなかった」といいます。

    一方、男性の単身赴任などもあり、長年にわたって夫が不在気味だった妻には、自分なりの生活のペースができてしまっていたようです。

    「週3日は外に出て」妻に言われた夫 一駅分の電車賃でつぶす3時間

    「どこに行こうか。どこで過ごそうか」と考える毎日だった男性ですが、やがて現状を打破する新しい展開が。定年後の新しい生き方について考えさせられます。

    イノベーションを阻む弊害も。研究者の雇い止め問題

    長年、東京大学で研究を続けてきた50代の研究者への取材記事。定年まで10年ほどとなった世代であっても、有期雇用が通算10年を超える直前に契約を打ち切られる「雇い止め」問題とは無関係ではありません。

    イノベーションは一朝一夕では成し得ず、地道な研究が必要な一方で、予算や制度などによって研究者の雇い止めがあるのも現実。将来の研究成果の芽を摘む可能性が指摘されています。

    記事では、背景や事情を知るために東京大学への取材も行っています。雇い止めがもたらす問題点とは?

    「私は使い捨て」雇い止めの東大助教 50代で直面した研究界の現実

    その研究者の男性は、生命科学の分野で研究を重ね、英ネイチャー系の有名誌や国際誌に論文が掲載されたり、国際会議に招かれて講演したりしたこともありました。また、国の大型プロジェクト「ムーンショット型研究開発制度」でも著名な研究者と並び研究を任されて、研究資金を獲得していたといいます。

    「任期付きの研究職は現場にとってデメリットが大きいだけの制度で、日本のためになりません。研究資金が続けば、研究環境を残せるような制度にしてほしい。私だけでなく、多くの研究者や研究の種が捨てられている」と語る男性の言葉から、研究現場での現実について考えさせられます。

    現役のうちから、定年後の夢やプランを
    イメージすることは大切

    三つの記事を通じ、定年する前後に訪れるライフスタイルの大きな変化にともなって、戸惑う人々の姿が印象に残ったのではないでしょうか。

    結局は自分自身がどうありたいか、どう生きたいかが大事です。ある程度の将来ビジョンを持って、現役のうちから準備していく必要があるのかもしれません。

    朝デジでは、日本が直面する問題や社会全体の動きについてだけでなく、身の回りの暮らしにフォーカスした記事も読者にお届けしています。今回紹介したような記事を継続的にチェックするのであれば「定年」「老後」「現役世代」など、任意のキーワードを登録して関連記事を見逃さない、MYキーワード機能もおすすめです。


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