2016年に施行された改正障害者雇用促進法にともない、近年、発達障害の人に対する職場での合理的配慮をめぐる裁判が相次いでいます。

ところで、合理的配慮とはなんでしょうか? さまざまな人が平等に活躍する社会を目指す今こそ、知っておきたい知識です。

今回紹介する記事では、発達障害の人への合理的配慮を理解するためのポイントを解説しているほか、障害学や障害法の専門家への取材も。今後、誰もがイキイキと胸を張って、等しく生きられる社会にするための課題点が見えてくるかもしれません。

目次

    さまざまな度合いのグラデーションがある?
    発達障害者それぞれに沿った職場づくりの課題

    「障害者雇用促進法」は今から約60年前の高度成長期に、障害者の職業の安定を図ることを目的として制定され、当時の法律名は「身体障害者雇用促進法」でした。

    2016年に施行された改正障害者雇用促進法により、発達障害などの障害者が必要な配慮を職場に伝えた場合、企業側は可能な範囲で発達障害の人への合理的配慮の提供が義務づけられるようになりました。

    そこで、職場での合理的配慮への理解をより深めるべく、朝デジでは連載として記事化。たとえば、第4回記事では、障害学や障害法、国際人権法の専門家であり放送大学教授の川島聡さんに取材しています。

    連載:発達障害は「わがまま」? 働く場の合理的配慮

    文部科学省によると、発達障害は広汎(こうはん)性発達障害、学習障害、注意欠陥多動性障害など、脳機能の発達に関係する障害と定義されています。

    また、他人との関係づくりやコミュニケーションなどが苦手な一方で、優れた能力が発揮される分野を持つ人もいるようです。そのため、周囲から見るとアンバランスな印象となり、人から理解されにくい障害ともいわれています。

    職場での合理的配慮を考える上で重要なポイントはどこにあるのでしょうか? 当事者や有識者への取材により、連載記事にはそのヒントがたくさん詰まっています。

    「思いやり」頼りではなく、発達障害の人への
    安定的な配慮について考えてみよう

    こちらは、一般的に広く理解や解釈が難しいとされる発達障害の人への合理的配慮について、Q&A方式でわかりやすく解説した記事です。

    【そもそも解説】発達障害の人への合理的配慮の提供、なぜ難しい?

    記事によると、障害のある人への合理的配慮については、2006年に採択された国連の障害者権利条約に盛り込まれています。そこには、「合理的配慮の否定は差別にあたる」という考え方が示されていて、合理的配慮を理解する上でひとつの鍵となるでしょう。

    たとえば、「目の見えない人の希望に応じてレストランでメニューを読み上げる」といったケースは合理的配慮にあたります。一方で、多数の利用者のために店にあらかじめスロープや多目的トイレを設置することは環境整備で、合理的配慮にはあたらないといいます。

    「思いやり」頼りではなく、法の整備がある上で、柔軟にルールを変えて社会の障壁を取り除くことが、障害がある人もない人も等しく社会で生きやすくなるポイントなのかもしれません。

    発達障害は「わがまま」じゃない!
    「思いやり」頼りの配慮から法で守る考え方へ

    日本では、今から約60年前に前身の法律ができてから、時代とともに人権意識が高まり、改正を続けてきた障害者雇用促進法。もちろん、改正障害者雇用促進法が施行されてからまだ数年で、まだまださまざまな課題を抱えているのが現状です。あらゆる人がこぼれることなく、平等な社会になるための進化の過程ともいえるのではないでしょうか。

    ただいえるのは、発達障害を「わがまま」と考える社会より、あらゆる人の考え方を柔軟に受け入れ、寄り添い合える多様な社会の方が、ずっと豊かで楽しくなるということ。

    朝デジでは、これからも社会の動きや課題などを敏感にキャッチし、身の回りの暮らしや職場、学校、コミュニティーをはじめ、広く社会を知ることのできるニュースやコラムを読者のみなさまにお届けします。


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