みんな一緒で、みんなと一緒のことをする——。産業革命以降の工業社会には、そんな集団的な価値観がありました。

でも、私たちはロボットではありません。人間の個性は人それぞれ。違いがあるからこそ、面白いのです。情報社会にシフトした現在、ようやく本来あるべき個や多様な人を尊重し合う社会になってきました。

日常生活の中でふと気づく、マイノリティーといわれる存在や、自分とは異なる環境に身を置く人たち。これまでの常識や固定観念を引きずったままだと、もしかしたら気づきにくいかもしれません。

そんな自分とは違う人や物事に、ほんの少しだけでも目を向けて考えてみたくなる、朝デジの四つの記事を紹介します。

目次

    異性愛者を装ってきたテレビ局員が意を決してのカミングアウト。“ありのままの自分”で生きる苦悩とは?

    本記事の主役は、同性愛者でありながら、これまで周囲から後ろ指を指されないように、異性愛者を演じて苦しんできたテレビ局員。同性愛をカミングアウトする前後の男性のリアルな葛藤を取材しました。

    「人からどう見られるかを気にしながら生きるのはもうやめたい」と思うようになった男性。家族や周囲にカミングアウトした結果、みんなの反応とその先に見えてきたものとは?

    結婚願う母さんに伝えた「僕は…」 苦悩したTV局員が変えたい空気

    国立社会保障・人口問題研究所が、2018年10月1日時点の大阪市の住民基本台帳に登録されている18~59歳の中から無作為に抽出された15,000人を調査した結果、異性愛者の割合は、男性で84.5%、性で82.7%。逆に言えば、そうではない人の存在が男性約15%、女性は約17%いることになります。

    LGBT+プライド2023」(2023年2~3月の調査)によれば、日本を含む30カ国の16~74歳の9%がLGBT+に属しているとのことです。

    学校や職場、コミュニティーなど、私たちのごく身近にいるマイノリティーが密かに抱える葛藤が、本記事から伝わってきます。

    つらい虐待の事実にフタをしない!
    大人だからこそ動くべきこと

    2018年にアーティストやタレント、ミュージシャンらとボランティアチーム「#こどものいのちはこどものもの」をつくり、寄付を集めて子どもへの支援活動を始めた犬山紙子さん。

    これまでも悲惨な虐待事件が数々報道されてきたなかで、心を痛めていた大人も多いかもしれません。

    インタビューでは、

    「ごめんなさいっていう気持ちとともに、少しでも生きづらい子どもが少なくなるように、なくなるように頑張りたいって思っている大人もたくさん私は見てきたから、ぜひそういう大人とつながってほしいと思うんですよね。というか、大人から、つながりにいかなきゃいけないと思います」

    と思いを語る犬山さん。

    動かなければ死ぬ時に後悔する 虐待と初めて向き合った犬山紙子さん

    犬山さんが活動を始めた動機をはじめ、大人がつくった生きづらい社会についてお話しいただきました。

    3〜5歳で保育園や幼稚園に通園しない「無園児」は
    5万人以上。孤立育児をどうやって支える?

    さまざまな事情から、保育園や幼稚園、認定こども園に通うことさえできない子どもたちは「無園児」と呼ばれています。

    本記事で紹介するのは、縁もゆかりもない大都会・東京に昨年、地方から引っ越し、「無園児」になってしまった子どものキリちゃん。そんな周囲から孤立した親子を取材した記事です。

    「無園児」キリちゃんのつらい思い出 孤独だったママを変えた通園

    2018年に実施された厚生労働省の調査によると、日本では子どもの7人に1人が貧困状態にあるといわれ、また、同じく厚生労働省の2019年度の調査では、0~5歳で保育園、認定こども園、幼稚園のいずれにも通っていない子どもは180万人以上と推計しています。

    母親と「無園児」だったキリちゃんは、どのような道のりを経て、笑顔を取り戻していったのでしょうか。

    「居場所がない」私の現実。
    親からの虐待を経て、保護されるまで。

    写真と記事とは関係ありません

    最後は、子どもの頃から親に虐待を受けていた女性に取材した記事です。

    「#泊めて」頼れたのはSNSだけ 18歳を超えた私、救ったDM

    記事によると、NPO法人「BONDプロジェクト」には、家庭に居場所がない10~20代の女性からの相談が、2022年度は全国から2万7473件も寄せられています。

    「自分がされてきたのは、世の中では『児童虐待』と呼ぶっぽい。19歳になって初めて知った」と、記者が出会った女性は理解します。

    家に居場所がなく、頼れる先が身の回りの人ではなくSNS。面識もない人に助けを求めることに衝撃を受ける読者も多いのではないでしょうか。

    記事から、家庭や社会からこぼれ落ちてしまう子どもが抱える課題が見えてきます。

    同性愛というマイノリティーや、閉ざされた家庭に潜む貧困や虐待。私たちにできることは?

    四つの記事を通じ、印象的なのは、実は社会の片隅に、誰にも気づかれることなくつらい状況や思いを抱えている人がいるということです。

    人に対して寛容な社会となり、あらゆる人が笑顔で暮らせるようにするには、集団や社会からこぼれ落ちそうになる人や自分とは違う人の存在を知り、視野を広げることが、最初の一歩。

    そして一人ひとりが寛容な心を持つことが、身近にいる困った人たちを救える温かい社会につながるのではないでしょうか。

    朝デジでは、これからも記者が感性を研ぎ澄ませて、身近で起きる社会問題をキャッチし、多様な人々の暮らしをはじめ、広く社会を知ることのできるニュースやコラムを読者のみなさまにお届けします。


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