全校生徒約300名の埼玉県戸田市立美笹中学校では、7年ほど前から朝日新聞のほか様々な全国紙、地方紙、専門紙、業界紙、中高生新聞、英字新聞を学びに採り入れています。2023年夏、デジタル版としては初めて朝日新聞のデジタル版を導入しました。日々の学習に新聞を使う目的や、実際に授業でどのように活用しているかをうかがいました。
私は理科が大好きで、理科の楽しさ、おもしろさを生徒たちに伝えたいという思いがあります。例えば「火山」を学習するとき「この間のスキー学習で見たあの山が『浅間山』という火山だよ」と紹介すると、教科書の学びが実社会と結びついていることが実感できると思います。
日本は災害の多い国です。実際に火山災害に見舞われた時、どういう可能性があるのか。もしもの時に活かせることは何なのかを知り考えることが大切だと考えており、授業で災害関連の新聞記事を利用する機会も多いです。
生徒たちは動画になじみのある世代ですし、「認知」の仕方は様々です。教科書の活字を眺めているだけではなかなか内容が入ってこない時も、授業の冒頭で動画ニュースを使ったり、「映える」報道写真を見せたりすると、良い反応が得られます。そこに記事を組み合わせていくことで、理解を一層深めることができると思います。
今、教育現場では「個別最適」が重要視されています。教員が選んだ一つの記事を提示するだけではなく、複数の媒体から複数の記事を提示し、そこから気になった記事を生徒が選び「記事からわかる事実」や「記事から考えたこと」をタブレットでまとめる活動も行っています。生徒が個人アカウントを利用できるようになると、より一層「個別最適」に活用することができると期待しています。デジタルだと探したりまとめたりするのが簡単なので生徒の学びやすいスタイルに合わせて様々な選択肢を示すことができます。
世の中にはたくさんのニュースがあふれているけれど、あまりに情報量が多すぎて、中には不正確な情報や怪しい情報も紛れています。生徒たちはデジタルに慣れている一方で、情報の取り扱いに危うさを感じることもあります。媒体内の検索だと、ピンポイントで確かな情報を探せるので、限られた授業時間の中でも扱いやすいのが魅力です。
指導で一番心がけていることは「社会とのつながり」です。生徒たちがいずれ社会人になった時に「持続可能な社会」であり続けるために必要なこととは何なのか。社会とのつながりを「自分事」として考えるのに適した教材の一つが新聞ではないかと考えています。
正直、自分が学生の頃は主にネットニュースばかりで、新聞をまじめに読んではいなかったです。でも、教師になって新聞と向き合う機会があり、情報の出所ははっきりしているし、ファクトチェックもできている。新聞の情報が良質であるということに気づきました。
生徒たちが「これでいい」という最終的な判断をするためには、良質な情報にたくさん触れることが大切です。新聞になじみがないので、最初のうちはどう読んだらいいか分からないという生徒もいました。毎朝火曜の朝に10分間、 新聞を読む時間を設けるなど、まずはとにかく触れてみるところから始めました。
朝日新聞のデジタル版を使ってみて良かったのは「検索」機能を使って過去の記事も調べられること。狙った記事を探すのにも便利です。「紙面ビューアー」を使えば、紙の新聞と同様にページ全体を俯瞰して見ることもできます。
指導では色々な物事を多面的に考えるということも重視しています。生徒たちは色んな視点を持っていて、他者から認めてもらいたいと思っている。社会では「多角的に考える」ことが大事なので、偏りが出ないよう論調の異なる複数の新聞を採り入れるようにしています。
それに、記事を読むことは自己肯定感の向上にもつながります。なぜかというと、大人の知っている情報を自分も知っているという自信につながるからです。「記事にこうあった」「こんな情報を知っている」ということは、発表する時の自信にもつながっていきます。
朝日新聞社では、記者をはじめとした社員が、学校や企業・各種団体などの研修や集まりでお話をさせていただく講師派遣制度を設けています。埼玉県戸田市立美笹中学校で「みんなで考えるデジタルシチズンシップ」をテーマに実施した出前授業の様子は下記の動画をご覧ください。
出前授業のご相談・ご要望は朝日新聞社講演センター<
https://jschool.asahi.com/talk/>までお問い合わせください。
※画面をクリックすると動画が再生します。
教材コース1ID月額3,800円(税込み)
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