ここができてない、バーベキューの食中毒対策

食のおしゃべり

大村美香
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 やっと本格的な夏がやってきました。外で食事をする機会が増える一方、食中毒が多い季節でもあります。消費者庁がこの時期に合わせて、どのようにバーベキューをしているか調査した結果を公表しました(※1)。結果を見ると、意外と見落としているポイントがあるようです。

 調査は、この1年にバーベキューをしたことがある全国の20代から60代の男女2千人にききました。

 バーベキューでよく行く場所に、手洗い場や食材・調理器具を洗う所がないという人が26%。4人に1人の割合です。洗う代わりにしたことを尋ねると、ペーパータオルやウエットティッシュなどで拭く人が半数。特に何もしていないという人が30%いました。

 何もしないのはもちろん無防備ではありますが、「洗う代わりにペーパータオルやウエットティッシュで拭くという行為も、汚れを拭く効果はあっても、食中毒のリスクを下げる対策としては十分ではありません」と消費者庁は指摘します。

 準備・調理・食事の段階では、「調理の前、食事の前にせっけんやハンドソープでよく手を洗う」「包丁やまな板は肉用、魚用、野菜用と使い分けたり、切る順番を変える」「残った食事を持ち帰らない」という項目で、3割が「できていない」または「どちらかといえばできていない」と答えました。

 驚いたのは、バーベキューで体調を悪くした経験者がかなりの割合でいたことです。二日酔い、食べ過ぎなどによる不調は除くという前提で尋ねているのですが、181人、9%が「ある」。

 消費者庁の担当者は「1万人中で考えると900人が体調悪化するという割合で、すべてが食中毒菌かどうかは明らかではないにせよ、決して少ないとは言えない」と話します。「食肉などには腸管出血性大腸菌を始め重い食中毒症状を起こす細菌が付いている可能性があり、屋外でのバーベキューは安全対策が一層肝心です」

 どの季節にバーベキューをすることが多いか尋ねると、夏が70%でトップ。次いで春(47%)、秋(26%)でした(複数回答)。まさに今が、バーベキューのシーズンだと改めて認識しました。レジャーを暗転させないよう、どうぞ食中毒防止に注意して楽しんでください。農林水産省が注意点のチェックリストを作っています(※2)。

写真・図版

関連リンク

※1 バーベキューの食品安全に関する消費者庁のインターネット調査

https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_safety/food_safety/pdf/food_safety_190723_0001.pdf別ウインドウで開きます

※2 バーベキューの際に気をつけたい食中毒予防のポイント(農水省サイト)

http://www.maff.go.jp/j/syouan/seisaku/foodpoisoning/bbq.html別ウインドウで開きます

 

<アピタル:食のおしゃべり・トピック>

http://www.asahi.com/apital/healthguide/eat/

(大村美香)

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大村美香
大村美香(おおむら・みか)朝日新聞記者
1991年4月朝日新聞社に入り、盛岡、千葉総局を経て96年4月に東京本社学芸部(家庭面担当、現在の生活面にあたる)。組織変更で所属部の名称がその後何回か変わるが、主に食の分野を取材。10年4月から16年4月まで編集委員(食・農担当)。共著に「あした何を食べますか?」(03年・朝日新聞社刊)