前大統領、捜査対象に 最高裁、請求認める ブラジル暴動

 ブラジルでボルソナーロ前大統領の支持者が数千人規模で暴徒化した事件を受け、ブラジルの最高裁は13日、ボルソナーロ氏を捜査対象とするよう求めた連邦検察庁の請求を認める決定をした。検察は、ボルソナーロ氏が暴徒を扇動した疑いがあるとみており、暴徒に資金を提供した人物などについても調べている。

 地元メディアによると、検察側はボルソナーロ氏が10日に、自身が敗北した昨年10月の大統領選挙について「ルラ氏が勝利したのは、国民ではなく裁判所によって選ばれたからだ」などと根拠のない投稿を拡散させたことを問題視した。

 ボルソナーロ氏は在任時から、選挙で使う電子投票が「不正」だと根拠を示さずに主張。支持者らが8日、首都ブラジリアの大統領府や国会議事堂に押し入った。一方、ボルソナーロ氏は暴徒化した支持者を非難。現在、米フロリダ州に滞在しており、月内に帰国する意向を示している。

 また複数の地元メディアは14日、事件時にブラジリアの安全部門トップで、ボルソナーロ政権で法相だったトヘス容疑者が警察に逮捕されたと速報。トヘス容疑者を巡っては逮捕命令後の家宅捜索で、国家の非常事態時に大統領が宣言する「国防事態」の草案が見つかっており、「国防事態を使って選挙結果を覆そうと試みた証拠だ」との指摘が出ている。(サンパウロ=軽部理人