(社説)コロナ第6波 高リスク者守るには

社説

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 東京など13都県に出されている「まん延防止等重点措置」は延長が必至の情勢だ。

 流行のピークアウトを期待する声もあるが、予断は許されない。同じオミクロン株でも感染力が強いとみられる別の系統が見つかり、人の移動や飲食の機会が増える年度末も近づく。

 課題の一つ一つに向き合い、着実に解消していくことで、この第6波を乗り切りたい。

 ワクチンの追加接種について岸田首相はきのう、「1日100万回」の目標を掲げた。自治体との連携を密にして、先進国では際立って遅い現状を、速やかに是正する必要がある。

 全国の重症者は昨年9月以来となる1千人を超え、死者の数も高い水準にある。感染が若い世代から高齢者に広がり、コロナに特徴的な肺炎が見られなくても、持病を悪化させる例が目立つ。ピークから遅れて入院患者や重症者が増えるという経験に照らせば、これからさらに厳しい局面に差しかかると覚悟しなければならない。

 発熱外来が混雑して、検査や診察の予約がとれない。自力で検査しようにもキットが入手できない。そんな話を多く耳にする。検査を省略し、症状などから「みなし感染者」として扱ったり、自主検査で陽性と出れば診察抜きで自宅療養を始めたりする運用も始まった。

 いずれも急場をしのぐ苦肉の策だ。不安に思う人が受診できない事態は避けねばならない。キット不足の解消と外来診療の拡充に手を尽くすべきだ。

 後藤茂之厚生労働相は先週、中川俊男日本医師会長と会談。発熱外来として都道府県に指定された3万5千の医療機関のうち、その事実を積極的に公表しているのは約7割にとどまり、「一部に患者が集中しているとも聞いている」と述べた。

 現下の状況で、なお診療に後ろ向きなところがあるとすれば看過できない。会員への働きかけを強めるなどして、医師会も改善に努めてもらいたい。

 学年・学級閉鎖や休校の措置が、全国に広がるなか、政府の分科会は先週末、臨時休業について「学びの保障や心身への影響等を踏まえ、慎重に検討する必要がある」と提言した。休校となれば、子どもはもちろん、保護者・地域も対応に追われる。自治体は難しいかじ取りを迫られるが、弊害を最小限にとどめる工夫が求められる。

 どんな措置をとればいいのか「正解」を見いだせない状況が続くが、忘れてならないのは、重症化リスクを抱えた人々を社会全体で感染から守るという視点だ。職場、学校、家庭での感染予防の取り組みが、これまでにも増して重要になっている。

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