(社説)コロナ第6波 特徴見極め適切対応を

社説

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 沖縄、山口、広島の3県に、まん延防止等重点措置を適用することが正式に決まった。

 それ以外の地域でも感染者が急増し、第5波をもたらしたデルタ株から、新たなオミクロン株への置き換わりが進む。同株に関する知見の集積を急ぎ、それを踏まえて適切・柔軟に対応していくことが求められる。

 オミクロン株の特徴は、従来株とは比べものにならない伝播(でんぱ)力だ。重症化リスクは低いとされるが、高齢者や基礎疾患のある人が感染した場合のデータはまだ十分に集まっておらず、軽々に判断できない。

 何より大切なのは、限られた医療従事者や入院・療養施設を有効活用し、医療逼迫(ひっぱく)の状況を招かないことだ。検査、診療、自宅や施設で療養する人の健康観察、通常医療への影響まで、これまでの「目詰まり」や「遅れ」の教訓を踏まえ、きめ細かく目配りして、手当てを講じていくことが欠かせない。

 まずは、最前線に立つ医療従事者へのワクチンの3回目接種を急ぐ必要がある。高齢者についても、さらなる前倒しを検討してもらいたい。

 国と自治体の緊密な連携が大切なのはいうまでもない。医療態勢が脆弱(ぜいじゃく)な地方でも感染者が一気に増える恐れがある。人員の応援派遣などの要請にも速やかに応えられるよう、態勢を整えておくことが肝要だ。

 重点措置が適用された地域では、飲食店に対し、営業時間の短縮や酒類提供の停止を求めることが可能となる。

 政治のリーダーの丁寧で説得力のある説明が不可欠だが、オミクロン株の感染力の高さを考えると、期待される効果が得られるのかという疑問も出ている。様々なケースを想定し、専門家の意見も聞いて次の措置を考えておかないと、無用の混乱や反発を招きかねない。

 けた違いの感染者が連日報告される欧米では、交通や物流、教育、警察・消防など、様々な方面に支障が出ているという。

 対岸の火事ではない。

 感染すれば、たとえ軽症でも一定期間は職場から離脱せざるを得ず、濃厚接触者も待機を要請される。すでに沖縄県では、勤務できない医療従事者が増えているとの報告もある。

 厚生労働省に助言する専門家たちも、医療・介護を含む社会機能の維持が困難になることを懸念する。そうした事態を避けるには、濃厚接触者の待機日数や軽症者の療養期間などを、データに基づいて適宜見直していくことも課題となろう。

 新たな変異株の、新たな特徴を見極めて対処していく社会全体の能力が、従来以上に問われる「第6波」になりそうだ。

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