(ひらく 日本の大学)教員・理系学生、伸び悩む女性比率 朝日新聞・河合塾共同調査

 国内の大学におけるジェンダーギャップが、なかなか縮まらない。朝日新聞と河合塾による今年度の「ひらく 日本の大学」調査で、女性の比率は教員で26%、学長は13%にとどまることがわかった。学生は45%と、ほぼ男女半々だが、工学部は15%、理学部は27%など理系学部では女子比率が低い状態が続いている。危機感を抱く大学では、奨学金制度を設けるなど女子学生の確保に力を入れている。(阿部朋美、三島あずさ)

 ■職位上がるほど低下

 調査結果によると、女性教員の割合は26%だが、助教は32%、准教授は26%、教授は18%と、職位が上がるほど女性の比率が低くなる。副学長は15%、学長は13%にとどまった。

 女性の登用が特に遅れているのが、国立大だ。女性教員の割合は、私立大が30%なのに対し、国立大は19%。教授は私立が21%で国立が12%、学長は私立が14%で国立は2%だった。

 国立大学協会は2011年度から5年ごとに、男女共同参画推進の行動計画を策定。21年度からの計画では「教授は20%以上、准教授は30%以上など職階ごとに25年までの目標値を設定する」ことなどを掲げている。「ひらく」調査でも国立大の8割以上が、教員の女性比率について目標を設定していると答えた。

 一方、女性教員を増やすためには「教員の卵」となる学生を育てる必要があるが、女子学生の比率は学部によって偏りが大きい。

 国は、女子中高生の理系への進路選択を支援するプロジェクトを14年に始めるなど、理系に進む女性を増やそうと取り組んできた。ただ、文部科学省の01年度の調査では、女子学生の比率は工学部が10・3%、理学部が25・3%で、20年間ほぼ変わっていない。

 日本の工学系の女子学生や大学教員の女性比率は、諸外国に比べても低い。

 OECDが16日に公表した2021年版の「図表でみる教育」によると、高等教育で工学・製造・建築を専攻する新入生の女性比率は16%(19年)で、OECD加盟国で最低(平均は26%)。高等教育における女性教員比率は28・4%で、これも加盟国で最低だった(平均は44・2%)。

 ■「女子枠」増、入学金支援も

 こうしたなか、理系の女子学生を増やしたい大学は様々な試みをしている。

 「女性の多い理工系大学を目指す」

 芝浦工業大(東京都)の山田純学長(62)はそう公言する。2027年に、女子学生の比率を現在の18・7%から30%以上に引き上げる目標を掲げている。

 オープンキャンパスに訪れる女子中高生からは、女子が少なくて不安、といった声が聞かれる。保護者が娘の理系進学に難色を示すケースも。一方で、企業からは、女性の技術職を採用したいという声が多く寄せられているという。

 山田学長は「マーケットの半分は女性。企業も女性の活躍は不可欠と考えている」とみる。そこで18年度に始めたのが、女子対象の公募制の推薦入試だ。来春入学者からこの入試の枠を倍増。推薦の入学者と、一般入試の成績優秀な女子入学者約100人に入学金相当(28万円)も給付する。

 「女子枠」は、「男性への逆差別」との批判を招きかねないが、男女比が異なる現状では、女子への支援が不可欠だと判断した。女子対象の推薦入試で入学した工学部4年の近藤桃佳さんは「就職活動では、企業は理工系女子を積極的に採用したがっていると実感した」と話す。

 大阪大も来春から、女子入学生対象の入学金支援制度を新設する。

 理系学部の女子学生を増やそうと、数年前から女子中高生対象の相談会や実験教室などを開いてきた。しかし、今年度の女子学生比率は、理学部で18・4%、工学部で13・2%、基礎工学部で9・3%。さらに踏み込む必要があるとして、この3学部の入試で成績優秀だった女子入学者50人を対象に、20万円の入学支援金の支給を決めた。

 担当者は「女性研究者をはじめ、多様な人材へのニーズは高まっている。だが、学部段階で女性が少なければ研究者も増えない。大学進学時の支援がもっと必要だと考えた」と話す。

 ◇朝日新聞と河合塾の共同調査「ひらく 日本の大学」は、2011年から毎年、全大学を対象に実施している。11回目の今年は6~8月、国公私立の775大学にコロナ禍の影響やオンライン授業の現状などを尋ね、85%に当たる655大学が回答した。コロナ禍の影響が特に深刻な分野や、今後の大学運営で課題になると考える点などを聞き、現状を探った。