(評・音楽)「宮本浩次縦横無尽」 「らしさ」も新味も、清々しく

 2年前にソロ活動を開始したエレファントカシマシ宮本浩次が、誕生日である12日、東京・有明の東京ガーデンシアターで単独公演を行った。

 「宮本浩次縦横無尽」と題し、昨年出したソロ初作『宮本、独歩。』とカバー集『ロマンス』の曲を中心に第1部は展開。白スーツに替えた第2部はエレファントカシマシの曲も交え、最新曲「sha・la・la・la」などを披露した。

 暗いステージでランタンを手に歌った「夜明けのうた」を始め、ラップ調の「解き放て、我らが新時代」、力強くドラマチックに歌い上げた「冬の花」など、多彩な曲でソロアーティストとしての新境地を示す。ステージを動き回りながら歌う様子は以前と変わらないが、鍵盤の小林武史を中心に組んだバンドの安定した演奏が、宮本の歌を一層自由にしているようだ。

 梓みちよが歌った「二人でお酒を」は軽やかに、中島みゆきの「化粧」は曲を自分に引きつけて、情感豊かな歌を聴かせる。また椎名林檎と共作・共演した「獣ゆく細道」はシアトリカルな独唱に仕立て、東京スカパラダイスオーケストラにボーカルで参加した「明日以外すべて燃やせ」は、飾り気のない歌が宮本らしさを伝えた。

 「悲しみの果て」「今宵(こよい)の月のように」といったエレファントカシマシの曲は、体に染み付いた歌を別の顔ぶれの演奏で歌うことで新味が生まれ、ソロ作の「昇る太陽」「ハレルヤ」などと同列の歌になっていた。アンコールでは小林と2人で新曲を披露。

 「音楽って素晴らしい!」と最後に叫んだ宮本。55歳を迎えて新たな地平に取り組んで歌う姿は、清々(すがすが)しい希望を感じさせた。(今井智子・音楽評論家)