フラット35、行政処分ゼロ 融資関与は11業者 住宅ローン不正

 長期固定金利の住宅ローン「フラット35」を、投資用マンションなどの購入に不正利用する事例が後を絶たない。ただ、2019年に多数の不正が発覚して以降、行政処分を受けた不動産業者はゼロ。おとがめなしで不正を続ける業者がいる一方、そそのかされて高額物件を買わされた人には厳しい試練が待ち受ける。

 不正利用の多発を朝日新聞が19年5月に報道後、フラット35を提供する住宅金融支援機構は、同年中に162件の不正を特定した。融資に関わった業者は11社。ローンの利子補給に国の補助金が使われているため、機構は不動産業者を監督する国土交通省などとも情報共有。刑事責任の追及も検討するとしていた。

 だが、不動産業者の処分を公表する国交省のサイトには、融資の利用目的を偽るなどの理由で処分された業者の情報は出ていない。刑事事件に発展した例も明るみにはなっていない。

 機構は取材に「行政処分や刑事責任の追及は、関係機関の調査等に協力しているが、詳細は調査等に影響を及ぼす恐れがあり言えない」と回答。国交省不動産業課は、関連の処分は出ていないと認めた上で「現時点でのコメントは控える」としている。

 朝日新聞が今回新たに確認した20年以降の不正3件には、19年に機構が特定した不正に関与した男性が姓を変え、別の法人で不正に関わるケースがあった。また、以前に別の住宅ローン不正に関与していた業者が、売り主となっている事例もあった。

 業者への責任追及が進まない一方、契約上はローンの借り主となる顧客の方は「不正利用者」として窮地に立たされる。機構は不正を確認した場合、利用者にローンの一括返済を求める。すぐに返せなければ競売などで物件を処分したうえで、残る債務や競売費用、損害遅延金も請求する。損害遅延金の利息は14・5%。残額が2千万円でも、計算上は利息だけで年約300万円の支払いが必要になる。

 生活が苦しい場合は、分割払いや損害遅延金の減額もあり得る。ただ、もともと収入が低めの若者が多いだけに、自己破産に至る人も少なくない。不正利用が見つかり、物件の競売手続きが進む30代の男性会社員は「自分自身が反省すべきところは大きいが、不正を主導した悪徳業者が野放しになっているのはおかしい」と訴える。(藤田知也)