言論守る、忘れぬ誓い 阪神支局襲撃34年

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 朝日新聞阪神支局(兵庫県西宮市)で小尻知博記者(当時29)ら記者2人が殺傷された事件から3日で34年になった。支局には市民らが訪れ、入り口の祭壇に設けられた小尻記者の遺影に手を合わせた。

 新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、2年連続で記帳台は設けず、3階の事件資料室の一般開放もとりやめた。事件発生時刻の午後8時15分には朝日新聞の社員たちが黙祷(もくとう)した。

 事件は1987年5月3日夜に起きた。支局に目出し帽をかぶった男が侵入して散弾銃を発砲し、小尻記者が死亡。犬飼兵衛記者(故人)が重傷を負った。

 支局を訪れた西宮市職員の谷口博章さん(50)は「報道の自由を守ることは市民を守ることにもつながる。事件を伝え続けてほしい」。会社員の清水一さん(74)は「ここに来ると、憲法や言論を守っていかなければいけないという気持ちになる。忘れたらいかん」と話した。

 広島県呉市川尻町にある小尻記者の墓では、石井暖子・朝日新聞広島総局長らが手を合わせた。杉林浩典・大阪本社編集局長が寄せたコメントを石井総局長が代読した。「自分とは異なる考えを暴力で封じ込める動きはなくなっていない。多様な考えを尊重し、自由に語り合える社会を守り、その実現に尽くすことは報道機関の責務だ」と誓った。

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