(社説)女性議員増へ 衆院選 擁立に力を注げ

社説

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 世の中の半数は女性なのに、国会議員はというと、衆院で1割、参院で2割と、世界最低水準にある。今年秋までに必ずある衆院選で、各党は一人でも多くの女性候補を擁立し、現状を是正すべきだ。

 国会でも地方議会でも、選挙で男女の候補者数を、できる限り均等にするよう政党などに求める「候補者男女均等法」が施行されて3年。この法律の下での衆院選は初めてとなる。

 最初の国政選挙となった一昨年の参院選では、女性候補は全体の28%にとどまった。立憲民主は45%、共産は55%だったが、自民15%、公明8%と、与党の低さが際立った。罰則のない理念法であることに甘えていないか。次の衆院選で各党の本気度が試される。

 自民の女性活躍推進特別委員会は、衆院選の女性候補の割合を、前回の約8%から今回15%に引き上げ、30年までに30%にする提言案を協議中だ。党内では反対論が根強いようだが、均等法は自民も含む全会一致で成立させたのではなかったか。党執行部の判断が問われる。

 1人しか当選しない衆院の小選挙区は地域代表の色合いが強く、現職優先になりがちだ。女性だけでなく、新しい人材が入りにくい構造的な問題がある。しかし、均等をめざす以上、小選挙区でも女性候補を大幅に増やすことは必須である。女性に限らず、多様な人材が国政に参画できるよう、各党は候補者選びの仕組みを根本から考え直す機会とすべきではないか。

 小選挙区の立候補予定者が先行して固まるなか、全国に11ブロックある比例区の活用は有力な手段だ。名簿上位に起用すれば、当選の可能性は高まり、女性議員の増加に直結する。

 世界経済フォーラムがまとめた男女格差の報告書で、日本は156カ国中120位と、今年も低位にとどまった。国会議員と閣僚の女性比率の低さという政治分野の遅れが主因である。

 努力義務にとどまる均等法の拘束力を少しでも強めようと、超党派の議員連盟が、女性候補を何%にするか、各党に目標設定を義務づける法改正をめざしている。まだ各党の合意は得られていないが、次の一手として採用すべきではないか。

 それでもなお、均等の実があがらないのなら、議席や候補者の一定割合を女性にあてる「クオータ制」の導入が求められる。女性が立候補しやすい環境づくりや、女性候補の養成にも力を注がなければならない。

 いまの多様な政治課題は男性だけで解決できない。女性の力を生かす政治に真剣に取り組む政党や政治家を見極め、有権者の投票で背中を押すしかない。

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