厳かな儀式、とらえた神髄 第13回全日本まつりフォトコンテスト

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 第13回全日本まつりフォトコンテスト(朝日新聞社、全日本写真連盟関東本部主催)の入賞作品54点が決まった。コロナ禍にもかかわらず、全国から202人、1378点の応募があり、写真家の林義勝さんが審査した。

 【総評】写真家・林義勝さん コロナ禍でも多くの力作

 未曽有のコロナ禍でのフォトコンテストになった。それにもかかわらず、全国各地から応募があり、多くの力作に出会えたことは喜ばしい。何より、個々の作品から元気をもらったような気がした。これは、それぞれの祭りに込められている災厄を払い、平和を祈る人々の願いに触れることが出来たからなのだろう。審査は、全国各地に根付いている祭りの神髄とは何かを考え、日本の美学を再認識する機会となった。

 最優秀賞に選ばれた「俄(にわか)雪」は、おぼろげでありながらも胸の中にある内面の意識を視覚的に捉えている。俄雪をハイキー調に表現した狙いが功を奏し、異界へ誘うような世界観を醸し出している。

 優秀賞の「観月の宵」は、海上の舞台で厳かな舞が披露され、自然と人間が融合した幻想的な情景だ。2019年に撮られた写真だが、コロナ禍という時世に発表したことで、鎮魂絵のような趣がある。

 朝日新聞社賞の「一瞬の芸術」は、古来伝わる伝統の祭りを、先人たちが大切に守ってきたことをうかがい知ることができるような光景。見事にこの一瞬を切り取った。作品づくりに挑む撮影者の真摯(しんし)な姿勢が、垣間見える一枚だ。

 全日本写真連盟賞の「凜(りん)として」は、おしろいで化粧した少女を正面から正攻法で見事に捉えている。お祭り騒ぎという言葉もあるのだが、心清らかに厳かに行う儀式にこそ、祭りの醍醐(だいご)味がある。

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最優秀賞「俄雪」 柳谷昌輝(青森)

優秀賞「観月の宵」 奥本泰久(広島)

朝日新聞社賞「一瞬の芸術」 加藤利光(静岡)

全日本写真連盟賞「凜として」 岩崎茂樹(神奈川)

 ■そのほかの入賞者

 ◆関東本部長賞 「決死の覚悟」茂垣貴子(東京)

 ◆審査員特別賞 「反橋を渡る」西村充康(奈良)

 ◆特選

 白石幸伸(東京)▽鴨野昭夫、山田興亜(以上広島)▽安部民子(大分)

 ◆準特選

 芳賀和代(山形)▽小林一夫(茨城)▽三宅清償、平田佐和子(以上埼玉)▽立川明、小川賢(以上神奈川)▽渡辺雅勇(静岡)▽後藤年良(愛知)▽木村薫(大阪)▽黒住洋子(岡山)

 ◆入選

 小薬勝雄、酒井正志(以上茨城)▽新井とみ、堀之内稔、古怒田潔、一瀬邦子、菊地博子(以上埼玉)▽吉田充輝、松浦昭子、王子田良二、国広妙子(以上千葉)▽大和かすみ(東京)▽柴田勝彦、伊藤信幸、藤川豊彦、山田俊次、畠堀ひと美、大西圭治、鈴木生子、井上和人(以上神奈川)▽松浦昭宏(静岡)▽田中和則、大島守、堀邦夫、外勢肇(以上愛知)▽梁井英雄、瀬戸茂子、国本三郎(以上三重)▽加田誠(富山)▽芝崎静雄(愛媛)▽真角伸子、山中美恵子(以上福岡)

 ◆高校生優秀賞 「結」藤本愛永(香川県立坂出商)

 ◆高校生入選 京藤和(福井県立丹生)

 =敬称略

 ■来月18日から入賞作品展示

 入賞作品を3月18日から24日まで、東京都新宿区四谷1丁目のポートレートギャラリーで展示します。

 全日写連では会員を募集しています。ホームページ(https://www.photo-asahi.com/別ウインドウで開きます)をご覧下さい。問い合わせは事務局(03・5540・7413)へ。

 ■協賛

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