(受験する君へ)好きな人に彼女が、「見返す」を原動力に 芸人・ゆりやんレトリィバァさん

受験する君へ

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 高3まで、大学へ行く気はありませんでした。芸人になるつもりでしたから。でも、夏休み前に好きな男の子ができたんです。

 1学年下のカッコいい野球部員。夏休みに入ると、彼の練習している姿が見られへん。だから、学校へ行って勉強するフリをするために、「受験する」と先生に言ったんです。

 夏休みは、朝早くから夜まで学校にいました。教科書は、1日1行も読めてません。野球部の練習を見ていたから。でも、夏休みが終わってすぐに、その人に彼女ができたという話を友だちから聞いたんです。告白したわけでもないし、勝手に好きになってただけなんですけどね。なんのために高校最後の夏休みを学校で過ごしたんやろうって。その男の子を見返すために、「関関同立」をめざすことにしました。

 中学のときから、映画「バック・トゥ・ザ・フューチャー」に出ているマイケル・J・フォックスのファンでした。アメリカや英語に興味があり、大阪への憧れもあったので、関西大学の外国語学部か文学部へ行けたらと思いました。

 でも、成績はめちゃくちゃ悪かったんですよ。塾にも行っていなかったから、勉強の仕方をよくわかっていなかったんです。日本史の問題集をやり始めたけど解けない。本当に、なんにもわからへん。そうだっ、教科書を読めばいいんやと気がついて、それから通学する電車のなかでも学校でも、とにかく教科書を読み込むようにしました。

 ノートに丸写しもしていましたね。目で見て、手で書いて、口で読んで。体に染み込ませたら自然と頭に入ってきて、問題も解けるようになっていったんです。でも英語は難しかった。英文は、わからんかったら自分で勝手にストーリーを作るしかなかったような気がします。

 好きだった人を見返すための受験でしたが、途中からは、本当に関大へ行きたいという気持ちになりました。受かった手応えはなかったけど、合格してほんまにうれしかった。

 いま頑張っている受験生に伝えたいのは、とにかく寝てくださいということです。寝ないと体を壊します。私は6~7時間は寝ていました。その方が頭が回る。「そんなん言われても」って思うかもしれないけど、どこへ行っても人生は開ける。そう思えたら、変に力を込めずに受験できるかもしれません。みんな、落ち着いていきや~。(聞き手・篠塚健一)

 ■私の勝負飯 験担ぎのお菓子、キットカット

 受験生向けのパッケージには「合格」とか書いていました。験担ぎで、カバンにしのばせて試験会場へ持っていったことも。チョコを食べたら、頭のよく回るイメージがあったから。

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 1990年、奈良県生まれ。県立高田高校から関西大学文学部へ進学。大学在学中に吉本興業の芸人養成所に入り、首席で卒業した。ピン芸人として活動し、2017年の「女芸人No.1決定戦 THE W」で優勝した。

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