(受験する君へ)課題の発見と克服、自分のやり方で 中日ドラゴンズ投手・福谷浩司さん

受験する君へ

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 高校受験の時、両親からは私立の野球の強豪校を勧められましたが、自分では通用しないと思い、進学校の愛知県立横須賀高校に進みました。高校では、授業中は授業を聴く、練習中は練習に集中、とメリハリをつけた。試験前の部活動が休みになる期間に、友だちと集まって勉強していました。

 高2くらいまでは、名古屋大理学部に進みたかったんです。でも模試の判定をみると合格ラインに届くのは難しいかなと思い、高3の夏に野球部を引退し、AO入試慶応大の理工学部に合格しました。

 1次試験は書類、2次は面接。書類選考では神経の電気信号についての論文を書きました。高校生活で悩んだり不安になったりすることもあったので、脳の仕組みに興味がありました。

 よく「野球と勉強を両立してたんだね」と言われます。でも勉強はテストでいい点をとるために教科書を丸暗記するだけでした。

 大学でも最初は卒業のために教科書をがんばって覚えていただけ。大学3年で、卒業論文のために初めて自分で考えて課題を見つけ、学んだ。「これが本当の勉強だ」と思いました。

 プロ野球でも似た経験をしました。2年目に結果が出たけど後が続かず、全てを否定された気になった。色んなことを周りから言われ、その通り練習しても何が正しいかわからず、身につかない。例えば投げたボールの回転数を機械で測っても活用法がわからない。

 でも、3年ほど前から個人的にトレーニング施設に行き、専門家から体の動かし方を教わり、フォームを改善しました。機械はその結果の確認に使いました。機械もトレーニングもあくまで方法の一つに過ぎないと気づいたわけです。

 19年はケガで1試合しか投げられず、給料も今までで一番下がりましたが、充実していました。翌年の20年には結果を出せました。

 受験勉強も同じではないでしょうか。勉強法について色んなことを言われると思いますが、そこから自分に合った方法をみつけることが一番だと思います。

 結果だけみると、志望校に受かった人とそうでない人に分かれるのかもしれない。でも受からなかった人がその後の人生で挽回(ばんかい)するチャンスはいくらでもある。いま30歳になって大切だと思うのは、自分で課題を見つけ、それを克服するためにどう行動するのかということ。そういう勉強の方が、大人になってから必要だと思います。(聞き手・宮崎亮

 ■私の勝負飯「トンカツと納豆」 粘って勝つ

 受験の時の食事ではないのですが、小さい頃から試合前には母が「明日は勝つ」とトンカツ、「粘って」と納豆を食べさせてくれました。母の料理は僕にとって大事なものでした。

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 ふくたに・こうじ 1991年生まれ、愛知県出身。愛知県立横須賀高校から慶応大理工学部に進み、ドラフト1位で中日ドラゴンズへ。2020年は8勝、防御率2点台の好成績。

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