(社説)共通テスト コロナ下 万全の対応を

社説

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 31年間続いた大学入試センター試験に代わる「大学入学共通テスト」が16日から行われる。新制度になって最初の試験とあって受験生の不安はただでさえ大きい。そこに新型コロナの感染拡大が加わった。

 直前に2度目の緊急事態宣言が発出され、保護者も含めて懸念や戸惑いはさらに増したと思われる。それでも実施される以上は、実力を十分発揮できるよう、体調管理に万全を期して当日を迎えてもらいたい。

 長期休校などで勉学の遅れが出た生徒がいる。そこで「第2日程」として今月30、31日にも試験日が設定されたが、各大学の個別試験に向けた準備を考えて、大半が16、17日の「第1日程」を選択した。

 感染症の専門家らは「対策をとれば試験中の感染リスクは低い」としている。試験会場となる各大学に、その「対策」の徹底が求められるのは言うまでもない。座席間の距離の確保、換気、寒さ対策など、地域や会場の規模、当日の気象条件によって違いもあるだろう。受験生が心を乱さないように、必要に応じて丁寧に説明することなども検討してほしい。

 受験生や保護者に望みたいのは、くれぐれも無理をしないことだ。そのためにも、受験生自身が感染したり濃厚接触者とされたりしたときにどう行動すればいいか、もう一度確認しておく必要がある。

 陽性反応が出ている場合は、症状の有無にかかわらず試験を受けることはできない。一方、濃厚接触者は、無症状で一定の条件を満たせば受験できる。いずれも判明したら、12日以降、受験票に書かれている「問合せ大学」に連絡して、その指示に従うことになっている。

 第1日程の追試験会場は例年の「全国で2カ所」ではなく、この状況を踏まえて全都道府県に設けられる。試験当日でも体調に異変を感じたら、ためらわずに追試験に切り替えてほしい。自分の健康はもちろん、試験に臨む他の受験生のことも考えた行動が求められる。

 今回の受験生は、政治家をはじめとする大人たちの思惑や見通しの甘さに振り回された。

 英語民間試験や記述式問題の導入は、かねて指摘されていた懸念や問題を拭えぬまま、おととし相次いで見送りとなった。そのほかにも、2度の試行調査で出題の仕方や正答率の低さなどに疑問が示された。それらの課題がどこまで是正されたか。試験後の分析・検証と、来年以降に向けてのさらなる改善の取り組みが欠かせない。

 コロナ対策にせよ入試改革にせよ、これ以上、受験生を「被害者」にしてはならない。

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