(受験する君へ)お笑い芸人・小島よしおさん、「東大王」出演・鈴木光さん

受験する君へ

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 コロナ禍で迎える受験シーズン。16日には大学入学共通テストを控え、不安を抱いている受験生も少なくないでしょう。各界で活躍する受験経験者や、さまざまな分野で学びを深めている現役大学生・大学院生たちからのメッセージを随時お届けします。

 ■目標定め・自分に合った計画 小島よしおさん

 高校3年の夏までは野球に打ち込んでいました。勉強の成績は全然良くなかった。当時から芸能に興味があったので、野球部の引退後はオーディションを受けたりしていて、大学受験を決めたのは冬ごろです。車がほしかったんですけど、母親から「大学に入ったら頭金を出してあげる」と言われて、それに釣られて。

 「想定通り」浪人が決まり、早稲田大を目標にしました。周りを驚かせたかったからです。高校の社会では政治経済を選択していたので、それで受験できる学部があるなかでトップクラスなのが、早稲田でした。

 とはいえ、切羽詰まらないと走り出せない自分の集中力を考えると「1年もたないな」と。逆算し、夏ごろまでは、アルバイトをしながら単語や暗記ものを中心にやりました。ただ、過去問には春からとりくみました。先に傾向をつかみ、必要な「筋肉」を効率的につけ、何度も解いて点数を上げていくことで自信を高める作戦です。そして、いよいよお尻に火がついた夏以降は、1日16時間くらい勉強しました。

 あえて、仲のいい友だちがいない遠くの予備校に通いました。お金がなかったこともあり、授業は週1コマだけ。あとはひたすら自習室で勉強しました。わりと好きだったんです、1人で黙々とやるのが。

 目標を定め、自分の性格に合った計画を立て、寄り道せずにまっすぐ走れるような環境をつくる。そういうスタイルの基礎ができあがったのは、この浪人時代ですね。その後の芸人人生にも、このときの経験がすごく生きています。

 今年の受験生は、新型コロナもあり、何かと「大変だ」と言われますよね。でも、「大変だ」「不利だ」と思ってしまうと、どうしてもそっちにマインドが引っ張られていくと思うんです。周りの大人たちも、あまり「大変だね」と言わないであげてほしい。僕も、めちゃくちゃ忙しいときに「しんどいよね」と言われるより、「何が楽しかった?」とポジティブに聞いてもらったほうが、気持ちが上がるので。

 「大変だね」より、「条件はみんな同じ」「これだけ頑張ってきたのだから大丈夫」とプラスに考えてほしいし、声をかけてあげてほしいです。学校や地域によって、不公平な部分はあるかもしれない。でも、あえてそれは言葉にせず、プラス思考でいたほうが、力を発揮できると思います。

 (聞き手・三島あずさ)

 ■私の勝負飯「くんち丼」 沖縄の味でスタミナ

 沖縄料理の店をしている母のオリジナルメニュー。ご飯に、豚の三枚肉を泡盛などで煮込んだラフテーとキムチをのせた丼を、浪人中は毎日のように食べていました。おかげでスタミナがついたのかもしれません。

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 こじま・よしお 1980年、沖縄県生まれ。早稲田大学教育学部卒。2007年、海パン一丁で「そんなの関係ねえ!」と叫ぶネタで大ブレーク。新型コロナで全国一斉休校となっていた昨春に始めたユーチューブチャンネル「おっぱっぴー小学校」が話題に。

 ■誘惑を断つためスマホ解約 鈴木光さん

 高校1年の時に、弁護士の方にお会いする機会がありました。その方が条約の制定や食品の輸出入に携わっておられる話を聞き、海外や身近な私たちの食卓の安全につながる仕事に憧れ、弁護士になりたいと思いました。法学を学ぶ上で、立法の過程に携わっている先生が多く在籍し、多様な分野を取り扱っている東京大学が一番いいなと思い、一般入試と推薦入試の両方に挑戦する事にしました。

 論文や面接の準備など、推薦入試に割かないといけない時間は想定以上でした。周りの受験生と比べ、一般入試に割ける時間が減ってしまうことへの危機感が、受験直前期に襲ってきて不安と焦りの日々でした。

 面接には想定問答を自分で用意して臨みましたが、最後の一問で用意していない質問が来ました。自分が学んだことのない分野で軽くパニックに。今ある知識で自分なりに考えたことを話したものの、受からないのではないかと失望し、泣きながら家に帰りました。

 センター試験の受験後に推薦の結果が出て、自分の番号を見つけた時は本当にうれしかったです。大事なのは、わからないからといって諦めるのではなく、自分が持っている知識でどう考えるのか、その過程を先生方は見ているのかもしれません。

 その粘りは、ペーパーテストでも必要だと思っています。全く知らない問題だと思っても、手持ちの知識でなんとかなったりする。だから、知っているものに近いのがないか、どうやって自分の守備範囲の中に持っていくかという意識を持ってみると、慌てにくいかと思います。

 勉強にやる気が出ない時は、他のことをしたいという気持ちがあると思います。極端かもしれないですが、私は高3の秋にスマホを解約し、タブレット端末は売却。物理的に誘惑を断ちました。最初はつらかったですが、次第に慣れます。スマホにエネルギーを割かない分、心理的に楽な部分もありました。

 大きな試験の本番は普段通りにやるのが難しいですよね。欲を出してここで点数を取らなければと考え、全体の配分を超えた時間をかけてしまうとか。そこを頑張って抑え、普段通りにする意識が大事だと思います。

 本番直前のみなさんには「今一生懸命やっているだけで偉いんだよ」と伝えたいです。今の頑張りが必ずその先の人生でつらいと思った時の支えになるので、今頑張っている自分を褒めてあげて、最後までやりきってください。応援しています。(聞き手・阿部朋美)

 ■私の勝負飯「母手作りのカツサンド」 手作りでゲン担いだ

 センター試験の直前に初めて母がカツサンドを手作りで作ってくれました。「勝つ」とゲンを担いでくれたその気持ちがすごくうれしかったです。元々カツサンドは好きでしたが、手作りの味は別格でした。

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 すずき・ひかる 1998年東京都生まれ。筑波大付属高校から、東京大学文科1類に進学。法学部4年生。2017年からTBS系のクイズ番組「東大王」にレギュラー出演。昨年12月、初めての著書「夢を叶えるための勉強法」(KADOKAWA)を出した。

 ◇朝日新聞デジタルの受験特集ページはこちらから。https://www.asahi.com/edu/center-exam/

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