緊急事態、追われる学校対応 時差通学・修学旅行や文化祭中止 東京・神奈川・千葉・埼玉

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 首都圏4都県に2度目の緊急事態宣言が出された。4都県とも通学地域が限られる小中学校への一斉休校は求めないが、通学圏が広い高校には時差通学や、対面とオンラインを使い分ける分散登校を促した。部活動や修学旅行などの学校行事も大きく制約される。緊急事態宣言下の4都県の学校対応は?

 ■東京

 東京都教育委員会は、都立高校などに対し、時差通学の徹底や、対面指導とオンライン学習を組み合わせる分散登校を実施し、登校する生徒を3分の2程度に抑えるよう通知している。修学旅行や文化祭といった学校行事は宣言が解除されるまで中止する。

 これらの学校行事について、都教委は昨年5月、2020年内は中止・延期するよう求めていた。こうした影響もあり、今年1~3月に都立高校など約130校が修学旅行を予定していたという。各校では旅行の2週間前から毎日、家族を含めた検温の徹底を求めるなど、準備を重ねてきた矢先だった。

 修学旅行は、生徒・児童にとって重要な学校行事だ。7日の都教委臨時会では「修学旅行を実施しようと、年明けに延期した多くの学校がまた行けなくなる。手当てを考えてほしい」といった意見が出た。ただ、最終学年の場合は3月で卒業し、これ以上の延期は難しいのが現状だ。

 都教委は部活動についても、大会・コンクールへの参加や対外試合・合同練習を含めて、全面的に中止することを決めた。23区内の都立高校では昨年12月26日から1月3日に生徒・教員ら45人が新型コロナウイルスに感染したことが判明。生徒ら41人が二つの部活動に所属していた。また、高校生が放課後に飲食して感染したケースもあり、放課後は速やかに帰宅し、生徒のみの会食やカラオケは避けるよう指導する。

 都教委によると、昨年6月から今月3日までに、都立学校の児童・生徒365人の感染が確認されているという。(荻原千明)

 ■神奈川

 神奈川県教委は県立の高校、中等教育学校では朝の時差通学を徹底することにした。緊急事態宣言時は通勤者の動きが変わるため、改めて公共交通機関のラッシュ時間を確かめた上で、学校長が登校時刻を設定する。下校時の混雑を避けるため、通常50分の授業を40分に短縮。状況によっては分散登校に移行できるようカリキュラムなどの変更も検討する。特別支援学校でも時差通学と短縮授業を徹底する。

 また、グループや少人数での話し合い、体育での身体接触を伴う活動など飛沫(ひまつ)感染の可能性が高い学習活動は行わないことにした。部活動は校内での活動を原則とし、平日の放課後のみ1時間半程度、週3回を上限とする。身体接触を伴ったり、限られた空間で集団で行ったりする活動はしない。大会などへの参加は原則不可とする。

 修学旅行は延期か中止とする。入試は感染対策を徹底して予定通り実施する。桐谷次郎教育長は「登校に不安を感じている児童や生徒の出欠席は、合理的な理由がある場合は欠席扱いにしない措置でやってきており、柔軟に対応していく。休むということなら課題学習の提供やオンラインによって学びの保障にしっかり取り組んでいく」と話した。

 市町村立の小中学校については、県立校の対応を踏まえて地域の感染状況に応じた対応をとるよう各市町村教委に要請する。(末崎毅)

 ■千葉

 千葉県教育委員会は、県立の高校を中心とする160校に、地域や交通機関の状況に応じて、校長の判断で時差通学を実施するよう要請した。

 県教委が6日にまとめた当面の対応は細部にわたり、授業については班活動、グループ学習は控え、体育は身体接触のあるもの、音楽は歌唱や管楽器の演奏、家庭科は調理実習を避けるなどとした。遠足や合唱コンクールは取りやめ、卒業式の対応は今後検討するという。

 部活動は放課後90分間までで、対外試合は禁止にする。部活動はクラスター(感染者集団)が発生していることから、休日の活動中止や、飲食時の会話禁止も求める。県教委の担当者は部活動について「厳しい感染状況で、身体的接触を避けるよう注意してほしい」と呼びかけている。

 こうした対応について、各市町村教委や私立校にも参考として伝えるという。(今泉奏)

 ■埼玉

 埼玉県教育局が県立学校の対応方針で強調したのは、合唱・調理実習の中止や食事中の会話の禁止だ。修学旅行などの学校行事についても目的地の状況や生徒の心情などを踏まえ、「保護者の十分な理解を得て中止や延期を含めて実施するかどうか判断する」とした。県内各小中学校でも同様の対応を取るよう、市町村教委を通じて要請する。

 また、「3密」を避けるためとして、始業時刻の繰り下げや短縮授業を実施する。部活動については、昨年末に冬休みが始まってから今月17日まで原則中止としていたが、中止の期限を来月7日まで延期した。

 学校内だけでなく、家庭内でも感染予防に取り組むよう保護者らに学校から依頼するよう求め、「生徒に規則正しい生活をさせる」「生徒のみの会食を自粛させる」といった項目をあげた。(釆沢嘉高)

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