(社説)コロナ急拡大 危機感もって手を打て

社説

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 新型コロナの感染者が全国で増加傾向にあり、流行の「第3波」を迎えているとの指摘が相次ぐ。新たな病床や療養施設の確保に追われる自治体もある。

 幅広くPCR検査が行われ、無症状や軽症の人も把握されて数字が積み上がっているのであれば、日々の動向に一喜一憂する必要はない。だが現実には、入院者、とりわけ重症者が増え始めており、最大級の警戒感をもって臨む必要がある。

 6月以降の「第2波」の際、政府は当初「感染者の多くは軽症者で、医療態勢は逼迫(ひっぱく)していない」と説明していた。だが、感染者数から遅れて重症者数が増加に転じ、8月下旬には一時250人を上回った。

 今回重症者は既に200人を超え、ペースが速い。同じ北半球の欧米で深刻な感染爆発が起きていることを踏まえれば、冬本番を前に日本も大流行の入り口に立っている恐れがある。

 政府は先日の対策本部で、感染者が増加している地域での集中的な検査の実施や、外国人コミュニティーへの情報提供など、クラスター(感染者集団)対応を強化・推進していくことを確認した。「爆発的な感染は絶対に防ぐ」という菅首相の言葉を実践できるか、取り組みの真価が問われる局面だ。

 8日連続で感染者が100人を超えた北海道には国から感染症の専門家が入り、保健師を応援派遣する準備も進んでいる。だが広く国民に向けては、感染予防策の徹底を呼びかけるだけで、この先どんな事態になったら、どんな対策をとる考えなのかの説明はされていない。

 政府の分科会は8月、4段階の警戒レベルのうち上から2番目のステージになれば、飲食店や観光施設の入場・人数制限、県境を越えた移動自粛の徹底などを「講ずべき施策」として提案した。政府は、今後そうなった場合の経済的な手当てなどを早めに明らかにして、人々の不安を和らげ、協力を得られる環境を整えておく必要がある。

 感染者が多数発生している地域では、特定の店や施設に限らずに関係者を幅広く検査し、なかでも病院や高齢者施設では一斉・定期的な検査を行うことになっている。こうした政府方針を確実に実行できるか、自治体の取り組みを点検し、人・モノ両面で必要な支援をすることも忘れてはならない。

 「Go To事業」の扱いも検討事項の一つだ。第2波のさなかに強行した時は、多くの国民が戸惑った。社説は、状況に応じて見直せる仕組みとし、政治が適切に判断するよう求めてきた。社会経済活動を維持するためにも、これ以上の感染拡大の抑止をまずは優先すべきだ。

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