(FOCUS)「北京で表彰台へ」父子の覚悟 フィギュア・鍵山優真 正和コーチ「自らやる意思を」=訂正・おわびあり

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 フィギュアスケートの男子シングルで17歳の鍵山優真(星槎国際高横浜)が鮮やかに本格的なシニアデビューを飾った。4日まで行われた関東選手権で国際スケート連盟(ISU)非公認ながら世界歴代5位相当の合計287・21点をマーク。狙うは来季の北京五輪の表彰台だ。1992年アルベールビル、94年リレハンメル両五輪に出場した父・正和コーチ(49)の元で、羽生結弦(ANA)、宇野昌磨トヨタ自動車)に並ぶ世界のトップスケーターを目指す。

 3日の関東選手権ショートプログラム(SP)。4回転2種類を含む3本のジャンプをすべて着氷させ、98・46点の高得点を出したにもかかわらず、リンクから上がった優真に正和コーチは厳しい声をかけた。「ステップはいつも通りに動けていなかったし、スピンの回転もゆっくりだった。慎重だったな」。優真も演技後の取材では反省が口をついた。「スピン、ステップは滑り込みが足りなかった。課題です」

 シーズン前、正和コーチは優真にシニアで戦う覚悟を確かめた。「五輪を目指すなら羽生君、宇野君と肩を並べないといけない。日本で一番を狙うのと、世界で一番を狙うのは一緒。そこを目指すなら、必要な練習や求められるものはこれまでと変わってくるはずだ」

 SPでは浅田真央さんを指導したローリー・ニコルさんに振り付けを頼むことを決断。時差のあるカナダからリモートで指導を受けるため、午前0時からの練習にも取り組んだ。「やらされる練習じゃなく、自分の意思でやっていかないといけない」と正和コーチ。シニア転向に合わせ、精神的な自立も促している。

 ここまで二人三脚で歩んできた。スケートを始めたのは5歳。父子で一緒にリンクへ行ったのがきっかけだった。正和コーチは「センスは僕より全然上。でも能力的には関西や中部の同世代の子にかなわなかった。練習で能力を磨いた」。早くから4回転ジャンプに取り組み、飛躍のタイミングをうかがっていた。

 そして昨季、4回転トーループをひっさげてブレーク。ユース五輪金メダルに輝くと、初のシニア主要国際大会だった四大陸選手権で3位に入った。今季は数年前から温めていた4回転サルコーを解禁。世界のトップレベルで戦えるプログラムを作り上げた。

 急成長を続けるなかでも、向上心は尽きない。すでに五輪を見据えて、「4回転をあと1、2種類は増やしたい」と優真。正和コーチによると、練習では4回転ループを跳べているという。北京五輪、そして、その先へ。次世代のエースは大きな可能性を秘めている。(岩佐友)

 <訂正して、おわびします>

 ▼10月9日付スポーツ面「『北京で表彰台へ』父子の覚悟」の記事で、フィギュアスケート・鍵山正和コーチの現役時代として載せた写真は別人でした。保存写真の確認が不十分でした。本人の写真を掲載します。

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