合唱コンクール中止

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 全日本合唱連盟と朝日新聞社は25日、新型コロナウイルスの影響を受け、今秋予定していた第73回全日本合唱コンクール全国大会を中止すると発表した。

 中止するのは中学校・高校部門(10月24・25日、東京都府中市)▽小学校部門(11月7日、埼玉県所沢市)▽大学職場一般部門(11月21・22日、山形市)。地方大会については各地域の連盟が判断する。

 全日本合唱コンは1948年に始まり、中止は初めて。昨年は全国で約1600団体が参加した。同連盟の岸信介理事長は「ぎりぎりまで開催を模索した末の苦渋の選択です」と話した。

 ■「悲しい」「実感できない」

 全国大会中止が25日に決まり、各校の生徒たちは悔しさをにじませた。

 中学部門(混声)で、最高賞の文部科学大臣賞を昨年まで2年連続で受賞した郡山第五中(福島県郡山市)。この日、合唱部員21人が集まった音楽室で、顧問の橋本厚子教諭(56)が「とても残念ですが、全国大会が中止になりました」と切り出すと、涙を流す部員が相次いだ。

 4月21日から続いた休校が終わり、この日から学校が再開したばかりだった。部長の小針夢月(むつき)さん(3年)は「予感はしていましたが、大会中止はつらく、悲しい」。部活の再開は未定だが、橋本教諭は「みんなで練習してきたことは無駄ではありません。このメンバーでいい思い出を作っていこう」と呼びかけた。

 高校部門(Aグループ)で、同賞を昨年と一昨年に獲得した清泉女学院(神奈川県鎌倉市)のソプラノパートリーダー西岡君恵さん(2年)は「コンクールは青春そのもの。(中止は)一人で受け止めるには大きすぎて、実感できません」と言葉を絞り出した。

 例年、3年生の音楽部員は5月に引退するため、2年生にとっては高校最後の合唱コンだった。学校も新型コロナの影響で休校となり、部室は舞台道具などが散乱したままだ。音楽部顧問の佐藤美紀子教諭は「直接思いを共有できないのはつらい。コンクールが全てではないので、今こそみんなで音楽の本質に向き合いたい」と話した。

 全国大会の中止を受けて、北海道、東北、関東、中国、四国、九州の6支部が支部大会の中止を決めた。(見崎浩一、岩本修弥)

 ■安全最優先に

 新型コロナウイルス対策の長期化を受けて、全日本合唱コンクール全国大会の中止を決定しました。

 集団による合唱の練習や発表は、現状として感染を防ぐ手立てに限界があります。練習時間の確保や、開催地への移動も困難な状況です。大会に向けて努力を重ねてきた方々を思うと大変残念ではありますが、健康と安全を最優先に判断しました。再び仲間と一緒に安心して歌える日を願い、力を尽くしてまいります。

 <全日本合唱連盟>

 <朝日新聞社>

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