(10代の君へ)本当の美しさは心の中に 森本稀哲さん

10代の君へ

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 小1の時に突然、「汎発性円形脱毛症」という病気になり、やがて髪の毛やまゆ毛、まつげが全部抜けました。その恐怖は今でも覚えています。先輩から言葉の暴力を受けたり、鏡で太陽の光を頭に照らされたりしたことも。当時の気持ちを色で言ったら黒とか濃い紫。公園でいじめられたら逃げ場がなく、帰るしかない。きつかったです。

 自信をつけさせてくれたのが小4で始めた野球。それまでサッカーをしていたんですが、ハゲてるから試合でバカにされる。野球はずっと帽子かぶってるので心の安らぎになった。小6ぐらいになると「あいつすごいぞ」となり、野球うまかったら認めてもらえるなあと。ナイーブで周りの目を気にする人間だからこそ喜びに感じてた。

 中学でも髪の毛のことが気にならなくなったわけではありません。見た目や体のことで悩んでいる子に共通して言えるのは、「結局、一番気にしてるのは自分」ということ。意外と周りは気にしてないんですよね。

 本当の人の美しさっていうのは表面上にはなくて、心の中にあると思ってます。男前じゃなくても、美人じゃなくても、「あの人の周りには人がいっぱいいるよね」っていう人がいます。大切なのは人間性。見た目なんて本当に一日で慣れるし、飽きるし。

 10人のうち2人に悪口を言われただけで、「みんなに言われる」と思うのも、もったいない。プロ野球で相手チームの球場で試合がある時、すごくそれを思った。結構パフォーマンスとかした方なんで、外野スタンドに手を振ったりする。すごい喜んでくれるけど、「こっち向くな」みたいな人も。僕は「ヤジを飛ばす人に目向けてもしょうがない。応援してくれる人のためにもっと色々やろう」と思って、さらに強くなりました。

 嫌な言葉をかけられたら色んな人に事実を伝えてほしい。多くの人が「それはいけないことだよ」って言ってくれます。自分で抱えずに、外に発信してくださいね。(聞き手・宮崎亮

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 もりもと・ひちょり 元プロ野球選手。1981年、東京都生まれ。帝京高校で夏の甲子園大会に出場し、日本ハム、横浜、西武でプレー。著書に「気にしない。」

 ■オススメの習慣

 毎朝のトイレ掃除

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 便器がキレイだと気持ちも晴れやかになります。みんなが必ず使うもの。感謝の心を込めて習慣にしています。

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