(作家の口福)母と猫とアイスクリーム 小池真理子

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 何かを甘辛く煮つける時の香りが好きだ。たとえば夏の夕まぐれ、ヒグラシが鳴き、カボチャを煮つけるにおいが漂ってきたりすると、もういけない。瞬時にして六十年近い歳月を逆戻りし、私は七、八歳だったころに戻ってしまう。

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 当時、暮らしていたのは東京都大田区の小さな社宅。家は庶民的な路地の中にあった。親たち…

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