(社説)国会改革論議 党首討論から始めよう

社説

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 後半国会が始まった。立法府と行政府の緊張関係をどう取り戻し、国会審議に活力をもたらすか。積み残しの課題である国会改革に取り組む時だ。

 国会改革の必要性を否定する政党はあるまい。ただ各論になると話は進まない。具体的に何から手を付けるべきか。

 超党派の「『平成のうちに』衆議院改革実現会議」は昨年7月、(1)党首討論の定例化・夜間開催(2)タブレット端末の導入などIT化(3)女性議員の妊娠・出産時の代理投票――を柱とする提言をまとめた。

 ほとんど進展せぬまま「平成」は終わったが、このまま放っておくのはもったいない。まずは、冒頭に掲げた党首討論の見直しを実現してもらいたい。

 近年の党首討論の低調ぶりは目を覆うばかりだ。一昨年は一度も行われず、昨年は5、6月の2回のみ。今国会もいまだ開かれていない。

 国民にとって党首討論は、人間性を含む各党首の力量や、各党の理念や政策の方向性を知る貴重な機会だ。夏の参院選での1票の判断材料にもなろう。

 最大の障害は「本会議や委員会に首相が出る週は開かない」という与野党の申し合わせだ。

 与党は、失点回避のために首相の出番を限定したい。一方で野党は、党首討論より首相に長く質問できる予算委員会の集中審議を要求しがちである。

 立憲民主党枝野幸男代表は昨年5月、「今の党首討論は歴史的意味を終えた」と述べた。質問に正面から答えず、自分の言いたいことだけを延々と語る安倍首相が相手では、まともな討論にならないという批判だ。

 だからといって、なし崩しに党首討論をなきものにしてはならない。与野党の国会対策責任者は5年前、党首討論の月1回開催を含む国会審議の充実策に署名した。少なくともこれは守ってもらわねばならない。

 そのうえで、さらなる工夫が必要だ。英国をモデルにした党首討論は二大政党制を前提にしており、日本の政治状況にはそぐわない面がある。立憲民主党は現行の45分間から2時間程度への延長などを提案。共産党も少数政党の排除につながる取り決めを改めるよう訴える。

 与野党はきのう党首討論のあり方を話し合う場を設けることで一致した。例えば、国民にとってテレビ中継が見やすい夜間開催は、「やる」と決めればすぐにでも実現できるはずだ。

 「安倍1強」の政治状況のもと、国会の行政監視機能の立て直しは急務だ。その責任に野党も与党もない。党首討論の見直しでまず一つ成果があがれば、次の展開も見えてこよう。国会のやる気が問われている。

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