NHKの大河ドラマが始まったのは1963年。放送中の「いだてん~東京オリムピック噺(ばなし)~」で58作目です。豪華キャストや大がかりなセットが毎年話題に。「大河を見て歴史好きになった」という人も少なくありません。それだけに皆さん、「マイベスト」へのこだわりは強いようです。

 1月に始まった「いだてん」を除く、57作の中で1位に輝いたのは「篤姫」だった。

 宮尾登美子の原作を田渕久美子が脚色。天璋院(てんしょういん)篤姫役の宮崎あおいは放送開始時に22歳1カ月、大河史上最年少の主役だった。「かわいいが、りりしい篤姫を見ていて痛快だった」(東京、57歳女性)、「激動の時代に翻弄(ほんろう)されつつも自分の生き方を貫く人生を女性の視点で見られた」(大阪、52歳男性)。放送時にも強い女性像が共感を呼んだ。女性を主人公にした大河は全部で14作あり、「篤姫」がヒットした2008年以降に5作と、その比率が増えている。

 2位は「真田丸」。千葉の男性(59)は「歴史の英雄によりかかった大河は見直すべきだ」と思うが、「真田丸」は「英雄の生涯を単純に追うのではなく、真田父子を通じて歴史のダイナミズムの中にある人間の機微をエンターテインメントに昇華させた」と感心する。「俳優の誰もが生き生きと演じていて、毎回食い入るように見た」という大阪の女性(48)のように、俳優陣も評価された。

 3位の「独眼竜政宗」の平均視聴率は39・7%と大河史上最高(ビデオリサーチ調べ、関東地区)。東京の男性(48)は「アーサー王伝説やシェークスピアを連想させる展開が面白かった」といい、神奈川の男性(70)は「ビデオで何度見返しても飽きない」。当時20代の主役渡辺謙の演技の力強さに触れる声も目立った。

 ■ランク圏外にも、お気に入りが

 30~50代から熱心なコメントが届いたのは7位「新選組!」。「これまではおじさんばかりで演じられていた新選組を、若者の群像劇として描いたのが新鮮だった」(千葉、33歳性別その他)

 一方、60代以上の多くが「これぞ時代劇」として記憶するのは9位の「赤穂浪士」。大河第2作、55年前の作品だ。「最高傑作。これを超える作品は私の中にない」(大阪、71歳男性)。主役の大石内蔵助に銀幕の大スター長谷川一夫を起用。「『おのおのがた』というせりふが今でも思い出される」(愛知、69歳男性)、「滝沢修、志村喬、宇野重吉、嵐寛寿郎らそうそうたる顔ぶれも忘れられない」(埼玉、70歳女性)。

 ランキングの圏外でも、熱いコメントが数多く寄せられた作品もある。「『平清盛』は(映像が)『ほこりっぽい』といわれたが、それがたまらなく時代感を出していた」(佐賀、67歳女性)、「『獅子の時代』は明治維新と近代化のもたらしたものを深く考える機会になった」(大阪、57歳女性)。

 大河ドラマで歴史好きになったという人は多い。「日本史を専攻するきっかけになったことに感謝」(埼玉、51歳男性)。ただしこんな意見も。「フィクションを歴史だとする刷り込みに反対。歴史を誤用しての町おこしも馬鹿げている」(神奈川、71歳男性)

 大河ドラマを「テレビが元気だった時代の日曜夜の風物詩」として懐かしむ声も寄せられた。「一家に1台のテレビ、家族みんなで感想をいい合った。いい時代だったなあ」(千葉、49歳女性)

 近年、視聴率が低下しているなどといわれるが、回答者の多くはずっと熱心に見てきた人たちだった。ファンだからこそ、戦国時代と幕末に集中する時代設定などを見直してほしいと考える人も少なくない。鳥取の女性(25)は「飛鳥時代など面白いのでは」と提案する。東京の男性(54)は大胆な発想で提言した。「戦国時代が続くなら日韓、日中で合作を。歴史は一つでないことを問うのも面白いではないか」

 (林るみ)

 <調査の方法> 朝日新聞デジタルの会員登録者を対象に昨年11月下旬から12月初旬にアンケート。1963~2018年に放送された57作から、いくつでも選んでもらった。回答者は1393人。21位以下は「功名が辻」「天地人」「江~姫たちの戦国~」「西郷どん」「春日局」「竜馬がゆく」「翔(と)ぶが如(ごと)く」「八代将軍 吉宗」「花神」「新・平家物語」と続く。

 

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