第3回「ここまで下がるとは」翻弄されるNISA投資家 大混乱の金融市場

有料記事

西尾邦明
写真・図版

連載「閉じゆく世界 トランプ関税の衝撃」

トランプ米大統領の高関税政策が世界を大波乱に陥れています。超大国が内へと閉じていく中、世界はこのまま危機に向かうのか。人々の暮らしへの影響は。トランプ関税がもたらす衝撃を多角的に掘り下げます。

 「ウソだろ……」。山形県で農業を営む男性(70)は8日朝、スマートフォンの画面に言葉を失った。

 そこには「評価損益合計マイナス6万4323円」とあった。昨年始めた新NISA(少額投資非課税制度)口座の投資信託で、含み損率は15%以上となっていた。

 前日7日、日経平均株価が史上3番目の下げ幅を記録していた。「覚悟はしていたけれど、ここまでとは」

 含み損の理由はトランプ米大統領が掲げた「相互関税」だ。2日に詳細が明らかになると、世界経済が急激に悪化するとの懸念が広がり、世界同時株安の連鎖に陥った。

 だが、9日にトランプ氏がSNSで関税の一部の90日間停止を表明すると、市場は一転。日経平均は今度は史上2番目の上げ幅を記録した。

 トランプ氏の言動に世界の金…

この記事は有料記事です。残り1667文字有料会員になると続きをお読みいただけます。

※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません

この記事を書いた人
西尾邦明
経済部|金融担当
専門・関心分野
金融、財政、原発・エネルギー政策
  • commentatorHeader
    中北浩爾
    (政治学者・中央大学法学部教授)
    2025年4月10日18時57分 投稿
    【視点】

    昨年8月と違い、今回の急落時には投資信託の「オルカン」(全世界株式)に資金が流入しているという、日経の報道があります。個人投資家が経験値を上げ、狼狽売りをしなくなった可能性があります。そうだとしたら、この記事にある山形の70歳の投資家ーしか

    …続きを読む
トランプ関税

トランプ関税

トランプ米大統領の高関税政策が衝撃をもたらしています。金融市場は動揺し、貿易摩擦は激しさを増しています。世界経済は危機に向かうのか。暮らしにどんな影響を与えるのか。最新ニュースをまとめてお伝えします。[もっと見る]