北京=畑宗太郎、台北=高田正幸
中国軍東部戦区は1日、台湾周辺で軍事演習を始めると発表した。「『台湾独立』勢力への重大な警告」だとしており、先月に中国を「境外敵対勢力」だとする認識を示した台湾の頼清徳(ライチントー)政権への圧力を強める狙いとみられる。
東部戦区は同日朝、演習の開始を発表した。陸海空軍に加え、ミサイル戦略部隊である「ロケット軍」なども参加。多方向からの台湾本島への接近のほか、パトロールや関連の海域、陸への攻撃、主要な海域や航路の封鎖などを重点的に訓練するとした。
海警局も、複数の編隊を組み、臨検や拿捕(だほ)など法執行の訓練を展開すると発表。福建省付近から台湾本島を取り囲むような航路を示す図も公表し、軍と海警局の連携を示した。
台湾国防部(国防省に相当)によると1日、台湾周辺の海域で中国軍艦13隻、離島部も含め計4隻の海警船を確認した。また戦闘機や無人機など中国軍機延べ36機が中台間の中間線を越えて台湾側に進入した。中国の空母「山東」の艦隊も3月31日、台湾周辺の海域に入った。
頼氏は先月13日の記者会見で、中国を「境外敵対勢力」とする認識を表明。異例の言及で、中国が台湾で統一に向けた工作を進めているとして警戒感を明確にしていた。
演習について、東部戦区は報道官談話で「『台湾独立』への重大な警告」とした。さらに頼氏を、台湾をむしばむ虫のように描いたイラスト動画を公表し、中国政府で台湾政策を担う国務院台湾事務弁公室も「(中台の)平和や交流に反対する醜い顔があらわになった」と批判するなど、頼氏への個人攻撃を激化させた。
中国軍は昨年5月と同10月にも台湾を取り囲むように演習を実施しているが、いずれも頼氏が総統就任などの式典で演説した直後で、5月の演習は「台湾独立を目指す勢力への懲罰」と位置付けた。
一方、台湾総統府は1日、「国際社会が認めるトラブルメーカーだ」として中国を非難する報道官談話を発表した。
林芳正官房長官は同日の会見で、「関連の動向について重大な関心をもって注視している」とした上で中国側に「懸念」を伝えたと明らかにした。(北京=畑宗太郎、台北=高田正幸)